まずジャケ写が良い、色は違うけどねソニー・ロリンズの名盤「サキソホン・コロッサス」みたいな圧倒的なインパクトが有ります。最初、ワタシは何故?せっかくの美貌が勿体ないと… 恥ずかしいです(笑)デジパックのアートワークもシンプルで高級感が有ります、まあー輸入盤じゃあ有り得んくらい高かったんで当然かな。 ディスク(1)はもう髪の毛ほどのミスも無い完璧さ、ゆったりとした豊かな響きと男性にヒケを取らない力強さ、あくまで女性らしい優美でしなやかな表現、息を呑む様な名演でしょう。 ディスク(2)も素晴らしい出だしなんですが、「シャコンヌ」の出だしの切る様なピリオド奏方には違和感有り、ディスク(1)ではモダンに伸ばす所はしっかり伸ばしてたのに…聴かせ所のピアニッシモの三連符のトリルが… 「たららたらら」と滑らかに行くところ(こういうメカニカルなフレーズはやっぱりヒラリー・ハーンが上手い、ってかガット弦では難しいのかな?)が「たっらたっら」と少しぎこちない(楽音再生でないと気付かないレベルかな(笑))それで後半の軽快に弾くべき所が少し重たい感じで残念… んーっ厳し過ぎますかねえ。次のソナタ、パルティータは最高の出来だと思います、ジャンプは一回失敗したものの後半上手くまとめて前日のSPの貯金で総合優勝と言う感じですね。(笑) 無伴奏全曲録音の中ではピリオド楽器でトップは間違いないです、録音も素晴らしいし値段以上の価値は有ります。「シャコンヌ」はやっぱりシェリング晩年の東京公演が素晴らしい、おそらくムローバさんも更に良くなって晩年には凄い「シャコンヌ」を聴かせてくれるはず、それまでは生きてたい、いやぁ死ねないなあ、って事でワタシの生きる勇気を与えてくれる有り難い音源となりそうですね。(笑)
ムローヴァとガーディナー指揮ORRという注目の顔合わせによる1枚です。この盤に先立って発売されたモーツァルトといい、今後ムローヴァは完全にオリジナル楽器と現代楽器の両刀遣いとしてやっていくということなのでしょうね。もともとあまり濃厚な表現をする人ではありませんでしたので、根幹的な芸風への影響が少なく、この盤でも澄み切った美しい演奏を聴かせてくれます。指揮者ともども表現はかなり優等生的で、オリジナル楽器に慣れた現在の聴衆を驚かせるような要素はありませんが、両曲の終楽章での歯切れのよい進行は一聴の価値ありです。
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