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僕の読書感想文 マニアックな本を刊行し続けている、国書刊行会の某氏の編集ワークだが・・。
彼が編集した本ということで「期待度を上げすぎていた」分、イマイチという読後感。近田春夫の書評文体は悪くはないのだが、取上げられる本に、あまり驚きがない・・。

たとえば、白洲正子の名前がこの本の中には何回が出てくるが・・。それは近田が自分で発見したものではなくて、連載時の担当編集者の三宅菊子(anan創刊時のメイン・ライター)の薦めによるもの。近年の「白洲正子神格化」にウンザリしている者としては・・。「お勉強」めいたこのヤリトリに、ちょっとゲンナリしてしまう。

なお、連載時には毎回「挿絵」としてついていた故・渡辺和博による、取上げられた作家についてのイラスト(彼が死去するまで分)が、本のカバー・見返し・表紙に「完全収録」されているのは嬉しかった。(申し訳ないが・・近田の文章よりも、渡辺の絵(+コメント)のほうが面白い・・)

とはいえ、近田春夫がフィリップ・K・ディックの大ファンだというのは、この本で始めて知った。この本の中でも二冊が取上げられている。ちなみに、山形浩生にその訳文を罵倒されている飯田隆昭の訳を、近田は「自分的にはディックにはこの人が最適」と評している。確かに、明解な訳文より、ぎこちない文体のほうがディック的には「クル」ものがあるかもね。

細かいことを指摘すると・・。マイケル・ペイリンの「ヘミングウェイ・アドベンチャー」という本を紹介しているのだが、「著者はイギリスの作家」とだけある。
この人があのモンティ・パイソンの一員だってことは、たとえ近田が知らなくとも、その本の訳者あとがきとかに書いてあると思うのだが・・・。

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