総巻数にして24巻目。これにてホントのおしまいとなった「狂乱家族日記 番外 そのきゅう」です。
夫婦をメインにとありますが、元々他人に主役を譲る気などあまりない凶華とその夫という目立たずにはいられない二人ですから今回も通常進行といって差し支えない物語が展開されており、「ヴァネッサ=エルの純情」と「賽も人生も投げられた」ではそれぞれ魔族の女王だったヴァネッサ=エルドラゴンと黄桜乱命こと乱崎乱華をゲストにいつもの狂乱騒ぎを見せてくれます。
そしてこちらが今巻の本命と言っていい「狂乱家族だった、僕たちへ」では本編終了の10余年後の世界が夫婦の実の娘・ディケイドちゃん(仮)の語りで綴られています。 「好きだけど、あまり書くべきではないと思っている」と作者さんが述べているシリーズ終了後のお話ではありますが、本編の終わり方があっさりしすぎと個人的には思っていたので書いてもらえたのは実にありがたかったです。
登場人物の多いシリーズですので「その後」の語られなかった人も多いですが、それを想像で補完するのもまた一興というものではないでしょうか。
「番外の番外〜胡蝶の夢〜」で過不足のない余韻に浸りつつ……
暴れ馬が如き設定と展開を乗りこなし、読者にハイテンションでぶつけるこの無茶苦茶さは目の肥えた読者でも一読の価値あり
出来損ないの同人誌の如き設定だが、それだけでは終わらない キャラが所狭しと暴れ回る時点で何故か問答無用の説得力を持ち、クライマックスに近付くにつれそれすらどうでもよくなる 敵と矛盾は力ずくで粉砕し、〆はお約束の○○、これにて一件落着 残るのは後腐れのない爽快感のみ
正に天晴れ!満点!
これは快作です。ジャンルとしてはちょっぴりSF色のあるギャグアニメ。しかも文字通り狂乱の。ストーリーは理論的かつ現実的に大いに破綻しているし、意味を成さない箇所も多いのですが、そんなことまでもダイナミックに表現しうるアニメというメディアの可能性の大きさをあらためて感じさせてくれるのが本編です。多少理不尽な展開などどうでもよくなるようなユニークさとパワーと、そして心温まる優しさがこの作品には宿っています。演出も硬軟の様々な要素を巧みに結びつけながら、おもちゃ箱をひっくり返したような小気味良い楽しさと一種洗練された斬新さを付与することに成功しています。
かつて世界を絶望のどん底に陥れた閻禍(エンカ)なる怪物の因子を現代に受け継ぐとされる者たち。人間、ライオン、生物兵器、そして自らを神と名乗る不思議で騒がしい少女に海洋生物(?)らがその面々。それまで互いを全く知らなかった者同士が国家プロジェクトの名のもと半ば強制的に家族として暮らし始めることに。(ここからしてすでに原作自体が突拍子も無い!狂乱している!)はたしてこの「なごやか家族計画」の真の目的とは?
個性豊かな面々から成る家庭の中心的存在は自らを神と称し母親役を演じる凶華。この騒がしくもどこか憎めない少女は常に騒動を起こし、毎日が狂乱のお祭騒ぎ。でも次第に寄せ集めの家族のメンバー一人ひとりの目にそれまでは無かった生気がみなぎっていきます。実は皆、悲しい過去を背負い、それまで孤独と絶望に打ちひしがれ生きてきた存在。最初はあくまでも「家族ごっこ」をしているつもりだった彼らは一つ屋根の下で暮らすうちに段々とお互いに心を許し合い、共に困難を乗り越え、抱きしめ合いながら本当の家族になってゆく・・・。生い立ちの違い、立場の違い、そして種族の違いさえも乗り越えて愛し合う“家族”の姿には素直に感動させられます。そこには相手をその見かけや生い立ちあるいは能力から判断し付き合う態度ではなく、ありのままの相手の存在そのものを愛おしいと思う、つまらない枠を取っ払った心の真実があります。
「もう一人じゃない。だから迷わない。共に笑い共に泣いてくれる大好きな家族がいるから・・・。」
ギャグに微笑みをもらい、ポジティブ思考の狂乱に力をもらい、慈しみ合う家族の姿に清々しい涙をもらう、はちゃめちゃに愛おしい作品。それがこの『狂乱家族日記』。
まず本屋で表紙を確認して感嘆しました。 表紙の色が一巻とまったく一緒だったんで、終わりの締めとしては表紙の面でも最高かと。 一巻のちっこい凶華様の表紙に惹かれ、購入してから数年・・・一番最初に読んだラノベがこの「狂乱家族日記」でした。 なので、他の作品よりもとても思い入れがあり、捨伍さつめを読んでいる間は30ページごとぐらいに泣いていました(笑。
すべての伏線とか問題とかがきれいさっぱり解決・回収され、今まで出てきた人達が本当に生きてそこに存在しているかのような動きをみせてくれました。 「あぁ、最初からこういうことだったのか」と驚かされる場面も多く、すごく面白かったです。 すべてがきれいに収まり、狂乱家族日記というシリーズのピリオドとしては、自分が想像していたより何百倍もよかったです。 終わってしまったのは少しさびしいですが、本当に読んでてよかったと思える作品でした。 自分の中では本当に凶華様は全知全能の神です!もう神社とか建てたいくらいです!
あと一冊番外編がでるようなので、どこの話かはわかりませんが今からとても楽しみです。
家族は、義務でもなく、拘束でもなく、もちろん苦痛でもなく。 いつでも帰っていい、居場所なんだろうから。 ―――狂乱家族日記 捨伍さつめより抜粋―――
「FBSP Vol.1」も狂乱家族日記すぺしゃるでしたが、今年4月から「狂乱家族日記」のアニメ放送が開始されるということで、再び狂乱家族日記すぺしゃるが発刊された次第です。 今回は前回よりも更にパワーアップして、表紙から裏表紙に至るまで、全部通して「狂乱家族日記」絡みのコンテンツとなっております。 まずは当然ながら掲載されている、作者の日日日先生の手による「狂乱家族日記 番外」は、最近度々表に現れるようになった優歌のブラックな面が乱崎家を席巻する、看板にかなり偽りありな「天魔伏滅★マジカル優歌の魔界大冒険」、本編はもちろん番外でも何気に存在感がある、あの人の過去を描いたハードボイルドもどき(何故「もどき」なのかは文庫をちゃんと読んでいて勘のいい人なら、冒頭のイラストですぐ分かると思います)「26時にあそびにおいで」、雹霞の生まれた尋常人工生命開発研究所を舞台にした、けなげにも切ないストーリー「そばかす小公女」と、変化球ながらもツボを突いた作品が揃ってます。 また、コミックもイラストを担当しているx6suke先生の「女王様症候群」に加えて、4人の描き手による「狂乱家族日記4コマ劇場ふたたび!?」もある充実ぶりだし、普段他作品を書いておられる作家の先生方によるコラボ短編も狂乱家族一人一人のキャラクターがちゃんと出ていて、みんなしっかり読んでるんだなと、文章から伝わる「狂乱家族日記」への愛着と熱に感心しました。 まあそんな感じの充実ぶりで、小説キャラクターの一挙紹介やアニメの設定画なども掲載されているので、アニメの前にまずは一読をお勧めします。
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