「大地のうた」に次ぐ、サタジット・レイ監督の３部作の２巻である。
前作「大地のうた」に引き続き、ゆったりとした時間が流れていく。
都会に出てきた父親とその一家。娘（姉）の死を乗り越え、都会での生活が始まる。
少年は、学校で学ぶ。そして、優秀な成績をおさめ、奨学金も得て、カルカッタ大学に行くことになる。
＊ カルカッタ大学は、極東国際軍事裁判のインド代表判事として赴任し、被告全員の無罪判決文を記した、あのラタビノード・パル博士の母校でもあり、また博士が教鞭をとられた大学でもある。
親族の勧めを振り切って都会に出てきた父親は、やがて、死んでいく。
そして、大学に進むことになった息子をできる限り支えてやってきた母親もまた、息子が在学中のある日、死んでしまう。
母は青年に、残ってほしかったのだが、それを息子である青年は拒否し、カルカッタに行くことになる。
息子はしかし、そんな中でも、昼は大学に通い、夜は印刷会社で働きながら、学問を究めていこうとする（今の日本の大学生とは似ても似つかない姿勢であり、光景である）。
結局、息子もまた、以前の父親と同じ対応をすることになってしまうところが、やはり、親子というもの。
それが、インドという地で表現されると、妙にどしっとした説得力を持って迎えられてしまう。
40年近く前にはやった、「木綿のハンカチーフ」にあるようなどこか軽快な感じは、この一連の作品にはみじんもみられない。
このＤＶＤで解説をされている故淀川長治氏は、この映画を観て、続きが見たくなったという。
淀川氏のアドバイスに従うまでもなく、私は、この映画を観てすぐ（もちろんその日のうちである）、さらなる続編「大樹のうた」を観た。
少年オプーはこのあと、どんな人生を歩んでいくのであろうか・・・・・
刀語というアニメーション作品の価値を最大限に高めているのは、
間違いなく岩崎琢の素晴らしい楽曲にあると思う。
サントラとしても最高の出来であるが、刀語、西尾維新の作品に
興味の無い人も是非聴いて頂きたい。
インドの名匠サタジット・レイ監督のオプーApu三部作の３番目の作品。98分の白黒映画。英語の題はオプーの世界（The World of Apu）。完結しているので、前作を見なくても、この作品だけを見るのも良い。しかし、この作品の中の会話から、前２作の筋がわかってしまうので、できれば前２作を見てから鑑賞したい。また、前作を見た人には必見で、３つの作品を連続した一つの作品と見ても違和感はない。主演は後のレイ作品に何ども登場するショウミットロ・チャタージ（オプー役）とシャルミラ・タゴールだが、二人のデビュー作。三作目にして、漸くオプーが主役だが、この映画の魅力は何といっても、当時14歳の初々しいタゴール（ノーベル文学賞のタゴールの血縁で、後に大女優となる）。暗かったオプーの人生が、タゴールの存在でたちまち明るくなっていく。二人の抱擁などのシーンは一切ないのだが、美しい花嫁姿、若々しい新妻ぶりから、手紙をやり取りしている声すらも愛らしいタゴールが、この映画の一番の魅力。後半に登場する子役のAlok Chakravartyも名演技。注意しなくてはならないのは、DVDのジャケットに本筋と結末がすべて書かれていることと、ジャケットの写真でおおかた筋がわかってしまうこと。名作だから、筋や結末は衆知のことと解説者は勘違いしているのだろうが、DVD製作者の猛省を促したい。購入後は、鑑賞までジャケットを裏返しにでもしておくことを薦めたい。三部作に共通して言えるのだが、多くの作品紹介に、三作とも結末が書かれてしまっていることが多い。三作とも、割に単調なストーリー展開なだけに、筋まで明かされてしまっては感動は半減。この三部作に限っては、鑑賞まで作品紹介を読むのは待ちたい。
「平家物語」に収録されている和歌を紹介した本。平家一門のみならず，源氏武者や宮中の人々の歌も余さず記載されている。
ほとんどは，清盛が死去して源平の合戦が始まり，一門が都落ちして衰退していく中で詠まれたものが多く，涙を誘う。
美しくも悲しい歌の一首一首に，人の世の哀れさ，はかなさを感じずにはいられない。
インドの名匠サタジット・レイ監督のオプーApu三部作の二番目の作品。102分の白黒映画。完結しているので、前作を見なくても、この作品だけを見るのも良いができれば一作目の大地のうたをみてから鑑賞したい。また、前作を見た人には必見で、二つの作品を連続した一つの作品と見ても違和感はない。オプー三部作といわれるが、この作品の主役は母親役のコルナ・バナージで、前作同様、貧しい家庭に耐える母親を好演。父親も前作と同じカヌ・バナージ（三人のバナージ姓の俳優に血縁関係はなし）。オプーは、成長が描かれるので、前回（シュビル・バナージ）とは違う二人の俳優（ピナキ・セン・グプトとスマラン・ゴジャール）が演じているが、３人ともよく似ているので、本当に一人の人間の成長をみているかのような印象。テーマは母と息子の愛で、コルカタの学校で学ぶために母親の下を離れるかどうかで母子の葛藤があるが、これは貧富に関係なく現代にも共通するテーマ。二人とも理想の人物という描かれ方ではないが、それだけに等身大の美しく微妙な母子の愛情が描かれている。前作が美しい田園風景であったが、本作のみどころはガンジス河の川岸の階段（ガート）、田園の中を煙を吐いて走る汽車（前作の汽車のシーンを喚起させる）、夜の蛍などだが、絵画のような美しさであった前作の魅力には及ばない。ヴェネツィア国際映画祭で、続編として金獅子賞を受賞したのは本作のみ。映画史に残る三部作の一つとして満点以外にはつけられない作品。
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