フィリップ・ロスの「ダイイング・アニマル」を原作とするこの作品は、作者とシンクロする批評家ケペシュの性欲をめぐる連作という趣きが強い原作に対して、ベン・キングズレーとペネロペ・クルスという二人の存在感が際立った物語に仕上がっています。年齢差からくる引け目をどうしても拭えないデイヴィッドは、デイヴィッドを等身大でダイレクトに捉えるコンスエラの前でまるで子供です。このあたりの男女それぞれの異性の捉え方の違いに性差の本質のようなものが浮き彫りにされているように思いました。あまり内容について書くとこれから見る方の楽しみを削いでしまうのでほどほどにしますが、ラスト近く、コンスエラが肉体をも含むその属性を失ってデイヴィッドの前に再び現れた時、初めてデイヴィッドの目にコンスエラの輪郭が明瞭に映ったような気がして、ここからデイヴィッドはコンスエラとの人生を歩み始めることができるのだと思う反面、コンスエラの内面が計りかねる、というより、その心情を思い計ろうとするのは、その行為自体が女性に対してのある種の侮辱のような気さえして、ペネロペ・クルスの凜とした佇まいにそんなことを考えさせられました。ところで、これは個人的なことですが、デニス・ホッパーの妻として出演しているデボラ・ハリーは、50前後の自分と同じ世代のものにとって、自分の老いをなによりも痛感させられる存在だと思うのですが、そう思うのは僕だけでしょうか。
このアルバムを境にVo.のE.A.ホヴィンガが脱退し、ヴォーカルに若さとハリとパワーがなくなってしまっているため、Elegyのくどさを堪能するならこのアルバムまで、ということになります。 1曲目からやりすぎなElegy節が炸裂し、これ1曲でおなかいっぱいになれます。 アタリ曲は136の3曲。この3曲のために買うアルバムとも言えます。
オランダ出身のメロディック・メタル・バンドが'93年にリリースしたデビュー・アルバム。 突き抜けるような高音Voが楽曲を引っ張る絵に描いたようなヨーロピアン・メタルで、いわゆるメロディ派のヘヴィ・メタルが好きな ファンにはマスト・アイテムとなりうるだろう。 ツイン・リードの盛り上げ方がとにかく巧みで、速いフレーズとメロディックなフレーズのコンビネーションが素晴らしい。 やたらと軽いドラム・サウンドだけが残念だが、印象に残る楽曲の集められた秀作だ。
現存するバンドの中で最もヘビーなバンドのライブ。 演奏テクニック、迫力、客の煽り方、音質、どれをとっても最高レベルのライブでしょう。 個人的にはあまり好きでない新譜からの曲も多いです。 ただ、やはり盛り上がるのは最初の3枚からの曲(Davidian, Old, Ten ton hammer)。過激なロンドンのファンが更に過激に暴れてます。 ライブ模様に加え、新譜発表にいたるまでの苦悩がインタビュー中心に紹介されます。レコード会社に見放され、ギターリストが去るなど解散寸前までいったエピソードは興味深いです。またvio-lence時代の相棒ギターリストが加入して一緒に作曲するシーンもよだれものです。文無しになっても信じる道をすすみ、見事に復活した彼らの姿勢は最後に流されるメッセージに集約されてます。 It is not the size of the man in the fight but the size of the fight in the man.
まあ買ってみるか程度で買ってみたのだが、予想外に素晴らしいアルバムだった。 Van Der Laarsが脱退し、音楽がよりプログレッシィブになった。技巧派とされているPatrick Rondatのギターが私は好きだ。Vanden Plasのゲストキーボーディストも良い仕事をしている。勿論ヘンクの曲も結構収録されているが 全員で曲を作り始めたバンドのこれからの活躍が非常に楽しみだ。
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