監督はJ・リー・トンプソンである。『ナバロンの要塞』で有名にはなるが、その後は次第に生彩を欠くようになり次々と駄作を連発し、晩年は鑑賞に耐えうるような作品は皆無という監督であるが、このイギリス時代に発表した作品は珠玉の逸品といって良い出来栄えである。全ての作品を観てはいないが彼の最高作はこれかも知れない。こうなったら『恐怖の砂』を是非ともDVD化してくださいとメーカーさんにお願いします。 ストーリーは殺人現場を目撃した少女(ヘイリー・ミルズ)と犯人(ホルスト・ブッフホルツ)の船員との間に奇妙な愛情にも似た感情が生まれ、時間の経過と共に親子のような絆が構築されていく事である。追う警部(ジョン・ミルズ:何とヘイリーの実父)から逃れるために、犯人を庇い嘘をつく演技に感情移入してしまう程ヘイリー・ミルズが上手い。ジョン・ミルズもベテラン警部を落ち着いた含蓄ある演技でサポートする。特に少女を詰問し説得するシーンなどは実際の父娘が演ずるので実に興味深い。 目撃者の少女は常日頃から嘘をついて周囲からは厄介者扱いされ、一方の船員は殺人者となり社会から疎外される。お互いマイナス要因を持った事で負の要素が結びつき惹かれていく展開が見事! 派手なアクションは一切なく心理描写に重点を置いたトンプソンの演出はサスペンスの定石に従い過不足なく表現する。 この映画の最高のサスペンスは犯人が乗船した大型船舶がイギリス領海外に出るまでに逮捕できるかがポイントになる。刻一刻と港を離れていく船舶と追う警察との時間的攻防戦が面白い。最後まで犯人逮捕に執念を燃やす警部が必死で追いつき、ついに犯人の船に乗り込むのだが……。ラストも犯人の人間としての本能的な行為により余韻のあるシーンで終わる。久々に良い映画観ました。テーマ音楽も良い。
コッタ君にはこういう再発はしてほしくなかったな。色んな人に聞いてもらえるチャンスって言えばそれまでだが…
こういうのが多すぎる。生きた化石にならないようこれからは頑張ってくれたまえ。ってかんじですよ。ええ…金ないやつらには朗報ですけど…
手元に読む本がなくなって、本棚の小池真理子コレクションの中から久々に手にとって読んでみました。日常に潜む恐怖、女の心理、見事な結末のつけ方、本当に面白いです。最近の小池氏は中高年の恋愛物が多く、こうした小気味よい短編の創作は影を潜めていますが、もっともっと読みたいです。
国防総省勤めで白い制服姿のケビン・コスナーがかっこいいったらない。28歳のショーン・ヤング がきれいです。派手なアクションや殺し合いもありません。しかし最後まで息をもつかせぬそのストーリーに引き付けられ、そして想像もしなかった結末に拍手喝采してしまいました。
単純なスパイものとは一線を画した傑作です。
隠れた名作といわれている映画。監督は「ナバロンの要塞」「恐怖の岬」等を手掛けたJ・リー・トンプソン。 出演者は、ドイツ出身の国際俳優ホルスト・ブッフホルツ(「荒野の七人」「ライフ・イズ・ビューティフル」)と名優ジョン・ミルズ(「ライアンの娘」「大いなる遺産」「ガンジー」)と、ジョン・ミルズの娘ヘイリー・ミルズ。 本作の見所は、ドイツのジェームス・ディーンと呼ばれたブッフホルツの繊細な演技と、天才子役と呼ばれたH・ミルズの演技の素晴らしさ、J・ミルズのいぶし銀の名演技で、この3人の演技は第一級だと思う。 この作品でH・ミルズは各演技賞を受賞、後に「ポリアンヌ」で主演して、アカデミー子役賞を受賞している。
ストーリーは、純朴な青年(ブッフホルツ)の罪を目撃した少女(H・ミルズ)との間に芽生えた、不思議な連帯感と友情、少女の淡い初恋を軸にして、犯人を追う警視(J・ミルズ)の捜査が同時進行していく。 まず、冒頭の子供達が遊ぶシーンや、玩具に伏線が張ってあるところが巧みだと思った。 札付きのうそつきの少女が、ただ一つだけ話した真実が青年を追いつめてしまう展開も見事。 また、映画の終盤、青年を追跡・追及するシーンでは「これでもか」と見せ場が作られて、飽きさせない。 映画のラストの台詞も秀逸。 孤独な魂を抱えた少女と青年の心のふれあいを描いたシーンは抒情的で、青年が少女の恋心に気付くシーンがいい。 事件を追う警視VS少女=J・ミルズ親子の演技合戦も、目が離せない。 ポーランド人の青年をかばう人達が、少女以外はみな異邦人や移民で、虐げられた弱者や敗戦国の人間であることにも注目した。 船上の青年の言葉に傷ついたH・ミルズの演技は、ラストシーンに至っては「もはや少女ではなく女」を感じた。
私は本作のDVDを所有。メニュー画面は日本語字幕あり・なしの選択のみ。
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