非常に内容の濃いDVDだと思います。ビジュアル的で理解しやすいです。 以下に主な内容を、
細胞分裂の回数にはヘイフリックの限界があって、この分裂限界が寿命を規定する。 細胞分裂の限界回数にはテロメアが関係している。 染色体がテロメアを持つのは染色体同士が異常に結びつくのを防ぐため。 線状の染色体にはテロメアが不可欠だが、リング状の染色体では不要。 リング状の染色体を持つ生物は自らのクローンを作る細胞分裂しかできない。 生物の祖先は有性生殖によって遺伝子を組み替える(進化する)ためにあえて線状の染色体を選んだ。 不老を捨てて進化を手に入れた我々は、再び不老を手に入れた時進化を捨てることになるだろう。
その他関連ワード P53遺伝子、アポトーシス、活性酸素、テロメラーゼ、細胞のがん化
2012年は糖質をカットする低糖質ダイエットが複数の現役の医師から提案され、おそらく2013年にはダイエット界に一つの大きなムーブメントが起こると思われます。そして、おそらくその次のブームの最有力候補がこの時間栄養学系(時計遺伝子)ダイエットではないかと考えています。時間栄養学系ダイエットとは、何をどれくらい食べれば痩せるのか?よりも”いつ”何を食べれば痩せるのか?に注目するダイエット法です。なぜ、”いつ”が大切なのかといえば、人間には遺伝的に体内で時を刻むシステム(サーカディアンリズム)を備えており、そのシステムは食品の代謝にも影響を与えているのではないかと考えらるからです。一例としては、深夜2時前後をピークに脂肪の合成を促進するタンパク質(ビーマルワン)の生成量が増えるので、その時間帯を避けて食事をすると太りにくいに違いないといった内容です。著者は、朝6時から遅くとも18時(理想的には15時)までには食事を終えるべきと主張しています。その他特徴的な話としては、朝起きて2時間以内に朝食を食べると、時計遺伝子が正常に働く(リセットされる)ので、まずはそうするべきであるとも。
正直なところ、本書を精読するとかなりストレスが溜まります(ました)。それは8割は納得できるのですが、どうしても残りの2割が腑に落ちない。半分くらい納得できる本ならば、残りの半分はファンタジーとして楽しめるのに、さすが時間栄養学の大家の著書にはそのようなエンターテイメント性がございません。。。
著者は言います。たかだか100年ほど前までは、人間は朝日が昇って明るくなれば活動を開始し、夜になり暗くなれば一日の仕事を終えて夜の休息の時間帯に入る、という生活を送っていた。しかし、現代人の置かれた環境は、真夜中でもコンビニやファミレスが利用でき、昼夜を問わずテレビを楽しむことができる。このような生活スタイルの変化は本来の生物の営みに反している。そしてその本来の生物の営みに反した生活スタイルが体内時計(時計遺伝子)を狂わせ、肥満、生活習慣病、日々の疲れ、うつ病、不眠を生み出した(P7〜8)。その体内時計を正常に働かせるための方法は、起きて2時間以内にアメリカン・ブレックファースト(目玉焼き、ベーコンorウインナー、チーズorミルクorヨーグルト、野菜サラダ、オレンジジュースor果物、コーヒーor紅茶)を理想とする朝食を食べることである(P22、P73)。
そもそも100年前の人々が朝起きて2時間以内に食事を摂っていたのか?しかもアメリカンブレックファーストを。
そういった疑問を持つ人に対して、著者はさらに朝食のダイエットへの有用性を説きます。アメリカの栄養調査によると、朝食を食べている人は食べてない人に比べて、1日当たり500キロカロリーくらい摂取エネルギーが多い、しかし、太っている人は逆に5分の1である。つまり、朝食を食べる人は代謝がよく(エネルギー消費が多く)なり、太りにくいのだと(P66)。
でも、それって、見方によっては朝食を食べるとエネルギーのロスが多くなるってことですよね?朝食が遺伝的なリズムと合ってない一面を逆に示しているのではないですか??
著者は続けます。朝食を食べている子どもと食べていない子供の学業成績は、食べている子供の方が2割高いという調査がある(P78)。著者の勤務した女子栄養大学(p78)や自治医科大(P90〜100)でもそのことが実証された。自動車の運転シュミレーターを用いた実験でも、朝食を食べなかった場合事故率が5倍になる場合があるとの実験結果がある(P110〜112)。そういう意味からも朝食は大切なのだと。
ですから、100年前の人たちが朝早くからキリキリ計算問題を解いたり、車を運転していましたか?子供の学業成績と朝食の関連性については、親の収入や就業時間(子どもと接する時間)、学歴などの家庭環境も十分加味して結論づけられていますか?もしかしたら、朝食を食べない(朝食が準備されない)家庭の子供の両親は、共働きや長時間労働の比率が高く、収入や教育費(通塾率)も低かったりしていませんか??そもそもダイエットの話からかなりそれていますが。
もちろんダイエットにも朝食は直接的に重要であると著者は言います。それは、脳が働くためにはブドウ糖が必ず必要で、ブドウ糖が足りなくなると筋肉のアミノ酸を分解してブドウ糖を作り出さざるを得なくなる。すなわち、朝食を食べなければ、筋肉が減ってしまい代謝の悪い太りやすい体になってしまうのだ(P85〜88)。
確かに絶食を続ければそうかもしれませんが、朝食を抜いたくらいで筋肉量が減りますか?仮に糖新生が行われる(アミノ酸が消費される)としても、昼食や夕食でアミノ酸を補給すれば良いだけの話ではないですか??
といった、具合に、私が読むととても疲れる本です。でも、冒頭で申し上げた通り、私が腑に落ちない点は2割ほど、その2割を埋めていただける論客が現れた日には、私もダイエットガイドとして全面的に時間遺伝子ダイエットを推したいと思います。
参考までに、時間遺伝子ダイエットで実践すべきことはかなりシンプルです。
○朝起きて2時間以内にバランスのとれた朝食を食べる ○朝日を浴びる ○野菜を食べてからご飯を食べる ○ボリュームのある食事は6時から15時までの間に食べる ○できるだけ夕食は18時までに食べる
くらいかな。
確かに,体内時計の考え方は役に立ちます.数年前にある男子学生が会食直後に吐き気と腹痛を訴えました.病院では「体内時計の乱れ」が原因と診断され,その後,生活を改善することによって回復したそうです.2年前,私は鼻の両脇と下部が赤くなったのですが,半年しても治らず,皮膚科で受診しました.パターン化された絵を示され,「この部分が炎症を起こすのは,加齢による脂肪代謝が原因なので,治療には長期を要する」との診断でした.炎症止めとビタミン(B2とB6)が処方されましたが,半年以上経っても炎症は悪化する一方で,自分で検討することにしたのです.結論として,原因は体内時計の乱れ(その頃は夜遅くまで書き物をしていた)と5月頃からの強い紫外線の影響でした.とりあえず,炎症はスクワランの入ったクリームで3日間で治りました.さらに不規則な生活で再発したため,日焼け止めの使用に注意し,規則正しい生活を気を配る日々です.また,米国旅行では毎回,時差ボケと体重増加がひどく,会議どころではなかったのですが,今年6月の旅行では(薬も服用せずに)現地でも帰国後も快調でした.体内時計のことを意識し,食事量のコントロール,果物とミネラルの摂取を心がけたことがよかったと思っています.
先に『もっと時計を見る』と健康になる」を読んだ時には,総合科学的な立場から大変興味深く,また感動しました.「『時計遺伝子』の力をもっと活かす!」は「先の著書の縮小版」かなと思ったのですが,内容は相変わらず盛り沢山の印象です.著者によっては,新刊の趣旨(特に既刊とどういう点が異なるか)を前書きで述べますが,本書ではよく読み取れませんでした.
医師による健康本を何冊も読んでみると,その人の専門分野や経験値などによって,主張が大きく異なる点がいくつかあることに気づきます.専門家(特に大学の研究者)は自分の専門分野でわかっていることを論文やデータに基づいて淡々と書くのは当然ですが,読者は氾濫する情報の中から自分の体に適するものを選択しなくてはなりません.現代はそのような時代ではありますが,一般の人達を対象とする健康がテーマである以上,(平易に解説するというだけでなく)多少なりとも総合医療的な記述やコメントがあれば有り難いと思うのは私だけでしょうか.
Nature Reviewとか読む前に、これを読んでおくと英語文献が読みやすくなるかと。 この本が出版された時点で、どこまでのことが明らかとなり、どこまでが当然のこととして受け入れられているのかを知ることができる。 また、この分野での有名人も知ることができる。 サイエンスをやるひとなら読んでおいて損はない。
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