独ソ戦を描いた美しい反戦映画である。 美しいからこそ胸にしみる・・・そんな映画だ。
内容は家族を失った少年が自ら偵察活動に成果をあげ さらに幼年学校へ行けと勧める軍人達の反対を押し切ってまで 再度敵地に向かうというもの。 ただここで知っておくべきなのは ソ連はドイツに勝利したが人数の比率で言えば 一人のドイツ兵が14人のソ連人を殺した結果の我慢の勝利であったということだ。
勝っても悲しい思いが映画を包み込んでいるのには そうした背景があるからだろう。
著者のカメラは、戦場という悲惨な場でも逞しく生活する人々を写してきた。 海外での戦争を自分と無関係のこととしてやり過ごしている、われわれに伝えるために。 世界から見捨てられ戦争を繰り返す国で生きる人々に関心を向けること、それが平和への第一歩ではないか、と考えさせられる。
タルコフスキー映画の入門としては最適であると思う。 戦争が少年にもたらしたゆがみと悲劇という題材は 決してこの映画の専売特許ではなく 同種の映画も他に散見される。その意味では いくつかある戦場での少年を描いた作品の一つであるわけだが この映画が突出している点は「映像」である点は ご覧になるどなたも お分かりになると思う。 「水」「炎」「林」という タルコフスキー独自の「映画言語」が既に この彼の初期の作品にも遺憾なく発揮されており まさにタルコフスキーの映画である。 「水」がもたらす「人間の『輪郭』のあいまいさ」 「炎」が集める「人間の『思い』の集中」 「林」が見せる「人間の『狂気』の行き所」 こんな風に 書いてみても しかし 何も伝わらないのが残念である一方 言葉によらない映像体験が 即ち タルコフスキー映画であるのである。 是非ご覧になってください。
難解な作品を撮るという印象が強い タルコフスキー監督の作品の中では 分かりやすく観やすい作品。 戦争という大きな渦に巻き込まれ 妙に大人びてしまった少年と 彼を取り巻く軍人たちの悲しみ。 平和な時代に子供として過ごせたことに 改めて感謝をしたい気持ちになる。 「古い映画は名作と言われててもちょっと退屈」と 思っている方でも退屈せずに観れる佳作。 後に巨匠になるタルコフスキーの力量の片鱗を 映像から感じずにはいられないだろう。
他の連中は何故か知らねーが 「平和な時代」だったらしい。 オレだけ「真珠湾攻撃」を 仕掛けられて突然戦争が始まっちまったぜ。
・・ 『鏡』の中では少年時代の主人公が 軍事教練で手榴弾を投げるシーンが ある。他の連中も戦争しているのなら そーゆー時代なので別にどーとゆー事もねー。 『僕の村』では主人公の少年一人が 生き延びて斥候兵として戦いながら 生きていくが・・・。 戦争は何時でも起きるし まだ終わったわけじゃあねー。
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