原作のマンガが好きだったのと、ミュージカルが好きで井上芳雄さんの出演作を何本か観ていたので二重の興味で買いました。
原作では最初から平坦で華の無い鬱屈とした日々、後半の大きなイベントを経てラストに繋がるのですが、やはり映画化にあたって多少の賑やかしが行われています。原作至上主義者的には異論があるかもしれませんが、商業的には必要なアレンジだったと思います。原作の重要なポイントはキチンと押さえられていますし、ヒロインの肘井さんの存在感も映画としては必要でしょう。あと、ラストのアレンジは気に入りました。
井上さんはややオーバークオリティというか、正しい意味での「役不足」だったかもしれません。少なくともマンガの主人公に比べてハンサムすぎますし、あの歌声を聴けるわけでもありません(笑) 原作の不安で壊れそうになるような場面も、ややもすると爽やかに解決してしまいそうに見えてしまいます。ただ、マンガで多用されるモノローグを少なめにし、井上さんの演技で表現していた部分は好感が持てました。特に後半の大きなイベント前後。
全体としては結構切ない話なのですが、これは観終わった後にちょっと元気の出てくる、個人的にはかなり好きな映画です。
月刊誌アフタヌーンの後ろの方の「余った」スペースに載せられている4コマ。シュールな笑いと、どう考えても交代して貰った方がいい担当者とのやりとりがポイントです。いつの頃からか毎月楽しみにしていましたが、もう3年になるそうです。打倒!江古田ちゃん。男気で買え!みたいな広告も笑えました。
売れない漫画家の話が割と好きで、昔は「まんが道」や「トキワ荘の青春」から、最近では「ツレがうつになりまして」までいろいろと観ています。この「おのぼり物語」も、そんな売れない漫画家を扱った作品です。編集者にいろいろけなされたり、励まされたりで、漫画家が成長していく。。。みたいな話です。この「おのぼり物語」は、決して大きな展開はないですが、ほのぼのとしていて、観終わった後に、ホッとできる作品です。主人公および女「先輩」とも、両親、アパートの住人、編集者との関係づけやエピソードも、きちんと観る者に伝わってくる、演技、演出がされていて良かったです。そして、長回しの撮影も、じっくりその場を切り取ろうとした監督の思いが伝わってきます。また、カメラアングル、カメラワークが非常に良かったです。もちろん、主演の井上さんは、他分野の人とは思えない程、好演していました。地味な作品で、未だあまり作品数が多くない監督作品ですが、十分に観てみる価値があります。
この漫画の主人公は最後こそ、作者の奥様、音楽ライターの逆井マリさんに全てもってかれましたが、 途中までは圧倒的に、秋田書店の編集者、K城こと金城小百合さん(沖縄出身)でした。 このあいだ出た、吉田豪さんのインタビュー集の単行本で、福満しげゆきさんが語っていましたが、 K城さんは、自分から言う気はないが、カラスヤさんが自分のことを好きとなるのは当然であり、良しとしていて、 カラスヤさんに彼女=今の奥さんができたときは捨てられた女状態で怖かったらしいです。 カラスヤさんもK城さんのことを嫌いではなかったんでしょうが、それ以上にK城さんの方が、 カラスヤさんのことが好きだったのに、プライドが邪魔して、自分からは言えずに、みすみす大魚を逃したみたいです。 後半部分の二人の間の謎のバトル状態もそう考えれば理解できます。 K城さんがつきあってた相手も一瞬だったり、わけがわからない相手だったりしてますからね。 漫画の企画持ち込んだ段階で意識していたんでしょう。題材が恋愛企画ですから。
単に女が苦手なカラスヤさんがきょどるのを漫画にするだけなら、見合い相手をどんどん連れてくるなり、 女性だけの職場で働かせるなりして、テンパらせて、失敗を面白おかしくつっこめば良かっただけですからね。 編集としては。 一緒にデートしたり、夜の公園でカップルの覗きをしたり、編集者として、この漫画家の立ち位置が面白いから、 スマッシュヒットださせようという通常の一線越えてて変なのはそこらへんの複雑な心理が働いていたからみたいです。 女の好みに突っ込んだり、そんなの非現実と苛立ったり、結構苦しい乙女心がうかがえます。
ちょっとでれてカラスヤさんに好きだと言わせるように仕向けてたらくっついてたと考えるとなかなか感慨深いです。 男と女はどうなるかわからない。改めてそういう目で見るとまた別な感想もでて二度楽しめます。
奥様の逆井さんの方ももともと作者のファンで、そのことをブログなどでも書いていた人で、 作者と出会う機会があったから、一気に勝負かけたからああなったということみたいですね。 実家を出るために都合良く利用されただけと心配されている方もいましたが。
まあ、関係者のご多幸を祈ります。
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