とても質がよく、値段も手頃で、しかも、届くのがはやかったからです
凛は5年前の水難事故以来、一度も村から出ていない。出ようとすると、大人たちから「熊が出る」などと抑止されるのだ。しかし実は…。
という話で、結局ハッピーエンドにはなるのだが、ちと物語が単調な感じを受けた。登場人物の感情描写がまだまだ未熟という感じだ。
併録の「風に花に君に」や「モノクローム・ワールド」のほうは、いざ主人公を取り巻く障壁が取り除かれて、さあこれから楽しい物語が始まろうというところで、ぷっつりと物語が切れてしまう。これではあまりに刹那的で、ごく普通の『りぼん』読者にとっては読むのがつらいのではないだろうか。
もちろん、作家の書きたいものと読者の求めているものは往々にして違うのだが、いったん商業出版のレールに乗ってしまった以上、もう少し読者側に歩み寄る努力を期待したい。もちろん、作者から歩み寄らずに読者がついてくるのであればそれはそれでいいのだが…。
りぼん漫画家の彩原その先生の最初のコミックです。
表題作の「天国の切符」は、2006年りぼんオリジナル6月号に掲載された読みきりです。
主人公の日菜子が塾帰りに乗った電車で寝過ごしてしまい、気がついた時についていたのは「城山駅」。
家庭で家族とうまく過ごせない日菜子が、城山駅の駅長の家で2日間過ごすという物語です。
物語は序盤は何の変哲もない普通の漫画に思えますが、終盤では一気にそれがひっくり返り、彩原先生の物語の構成力が見受けられます。
また、涙を誘う場面もあります。感動ものが好きな方にはお勧めです。
一度読んだら何度も読み返してしまう「天国の切符」。
画面もとても美しく、日菜子の性格にも好感がもてます。
その他の3編の読みきりもお勧めです。
是非、一度手にとってみてください。
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