松本ワールドを構成する重要な要素の1つ、キャプテンハーロックが何故宇宙海賊になったのか、その疑問に答えたと言っても良い作品でしょう。そして嬉しいのが懐かしいあのキャラ達(眼鏡の怪人トチロー、ラ・ミーメ、クイーンエメラルダス、トリさんetc)がズラリ勢揃いですよ。そして冒頭から迫力の戦闘シーンがオンパレードな事に加え、トチローとハーロックの「因縁」が第二次大戦当時まで遡れる事や、トチロー日く、「どれだけ赤貧に喘いでも売らなかった」先祖が友と再会を誓った証の手動照準機を、ハーロックに手伝って貰って据える辺りは、この2人が互いを何よりも思って居る事が窺い知れ、ついホロリとさせられます。ここまで男の世界にドップリ浸れるアニメ映画はまず出て来無いでしょう。
若き日のハーロックが主人公の作品ですが、音楽に関しては松本作品の中でも最も壮大な作品と言えましょう。そんなオーケストラスコアの全てが収録され、ボーナストラックに初CD化となる合唱組曲『わが青春のアルカディア』も収録、あまりにマニアックではありますが、同作品の熱狂的なファンには実に満足のいく作品。このETERNAL EDITIONシリーズのこだわりっぷりには、毎回驚かされますね。
ずっと昔にTV(SSXがTBSだったので、多分TBS)をつけていたら、エメラルダスと
マーヤがY字架に架けられてるシーンが映っていて、あの作品はなんだろうと思い松本作品を
読み漁るようになってからこの映画だと気づいた作品です。
スタンレーの魔女に挑むハーロックの先祖、ファントム・F・ハーロックI世の声に故・
石原裕次郎を当てているが、「999」で鉄郎を演じた野沢雅子が後年「ドラゴンボール」で
孫悟空・悟飯・悟天と孫ファミリーを一人3役でやっていたことを考えると、本作も井上氏
が一人3役でハーロック一族の声を当てればよかったと思う。
(レコードのドラマや予告編ではハーロックI世の声は井上真樹夫)
話題性を狙ったキャスティングだが、たった5分間の出演で主演の井上氏を差し置いて
1000万以上のギャラを払う金があるなら、低賃金で働くアニメーターの給与を増やすとか
作画を作りこむとかした方がよかったのではないか。
どうしても裕次郎を使いたいなら、主題歌を歌わせるくらいでよかったのでは。
本作は「男の映画」というのを強く出しているために、そこに目が行きがちだが、ハーロック
の恋人・マーヤとエメラルダスはたとえ捕われの身になっても決して屈服しようとしない姿勢で
武器を持って戦う男たちとは違う形で芯の強さを表現していたと思う。
(そのためにエメラルダスはハーロック達の引き立て役になっていて、999劇場版や原作の漫画
のように戦うヒロインとなっていないのがちょっと残念。)
キャラデザインの故・小松原氏が男らしさを強調したせいか、ハーロックの顎が太めに描かれて
いるのが残念。
「キャプテンハーロック」の設定画の顔のままでそんなに変更しなくてもよかったと思う。
ちなみに、本作の予告編2本に登場するアルカディア号の映像には、999劇場版1作目からのもの
が一部使用されています。
すごく男くさい作品なので、予告編の「さわやかな男のロマン」というナレーションはちょっと
違う気がする。
古い映画ですので、画質はそれなりですが ストーリーは良く考えられていて楽しめました。
スケールはハーロックという一人の人間に出来うる事の中での話ですので 999のように宇宙クラスの様な物語ではありません。 ですがそこがリアルでもあり、自分の出来る事の限界に苦悩する ハーロックという男の人間らしさも感じ取ることができます。
前半は、敗軍の将校としてみじめな待遇をうけるハーロック。 それでも男としての誇りは捨てないでいます。 武器どころか食べ物にも困り、恋人の窮地も救えないという苦境。
そのような状況でトチローはハーロックに語りかけます。 「武器があればお前は再び戦うのか」
その後、トチローから「宇宙最強の船」を受け取るハーロック。 その船はハーロックにとって、理想郷へ向かうための 信念と正義の戦いに必要な強大な剣。
恋人から贈られたマントをまとい艦長席につくハーロックの感慨深い表情が感動ものです。
最初から終わりまで、厳しいストーリーが続きます。 その中で、男とはなにか?を行動でしめすハーロック。
ハーロックの信念の一つに 「約束は相手が死んでいても必ず遂行する」というものがあります。
このひとつを貫き通すことが、どれほど難しい事なのか 当作品は見事に表現しています。
若い人にこそ、先入観なく観てほしい作品です。
他ではあまり見かけない「わが青春のアルカディア」と「太陽は死なない」がオススメです! メロディ、演奏を聴いてうん?っとなったのですが、やはり作曲が平尾先生でしたw 昭和歌謡曲の雄が作った曲なので非常に聴きやすい曲調です。
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