素早いご対応ありがとうございました。また機会がありましたらよろしくお願いします。
子連れの男女が再婚し、新しい家族ができた。やっと人生の主人公になれたと感じ、幸せを増していくと誓う母。その母が溺愛していた、魅力的な少年・長男の澄生。澄生は17歳の時に落雷で死んでしまう。母はその死を受け止められずにアルコール依存症となる。その母の心の底には、彼女の祖母の死に際の言葉が潜在意識として存在し、彼女は呪縛をかけられたように支配される。マコパパと子供たちから呼ばれる父親は、家族の要となるには非常に心許無い存在である。そして、”幸福“という状態を留めておく重要な家族を喪った後に、残されたきょうだい”長女・真澄、次男・創太、次女・千絵“はその不在をどのように受け止めたのであろうか・・・。それぞれの思いで、家族という形を維持しようとする3人の姿・行動が、章ごとに語り手を代えながら、他のきょうだいの視点から描写される。そして、壊れてしまったと思われた家族というものが、しっかりと紐帯(人と人とを結びつける役割を果たす大事なもの)でつながれていたことを知るのである。 そして、・・・起きるキ・セ・キ? 真澄、創太、千絵、それぞれの勇気、知性・優しさを兼ね備えた、子どもたち(ある意味大人である)の描写を是非読んでもらいたい。かけがえのない人を失った空白を埋めるために、残された者にたいしてどれだけの愛情やケアが必要であろうか?3・11大震災で亡くなられた数だけ、物語が現実に存在している。著者は書くべくして書いたのであろう。 残された者たちが、遥かな時間の後に”家族の物語”を紡ぎ直す。たしかな絆を描いた長編である。
この本を初めて読んだ時、たしかにムッとしました。 努力して勉強して優等生になるのが悪いのかよ?と。 でも、最近読み返して、腹が立ったのは「痛いところ」をつかれたからだと思います。 この小説の主人公の目から見たら、ぼくは「その他大勢のつまらないやつ」の一人かも。 それで、腹が立つってことは、それが当たってるからです。 この小説作品の主人公のものの見方や発言が、 もしも偏見に満ちてると思われる方がいたら、それはそれでもいいと思います。 でもぼくは、偏見ではなく、「自分が生きていく上で、何を大事にしているのか」 ということに対する見方の違いだと思います。 このレビューを見た人がいたら、ぜひ立ち読みでもいいから、読んでみて自分の頭で 考えてください。この文庫は、値段の100倍の価値ある本だと思います。 もし、ムカついたとしたら、きっとそれは、自分の心をかき回された証拠だと思います。 それこそ、この小説が発売してからまったく色あせない理由なのだと思います。 やっぱりぼくも、モテる格好いいやつになりたい。
山田詠美さんのファンです。詠美さんの小説の系統では、外国人の方との濃厚で官能的な恋愛を描いているものよりも、私は学生ものや短編が好きでよく読んでいました。『放課後の音符』や『風葬の教室』や『晩年の子供』など、好きな作品は挙げればたくさんありますが、最近はしばらくこういう系統を描かれていなかったように思います。
しかし、この『学問』は、私の好きな系統の作品でした。語り手の口調も女の子の独白で、ですます体のところや、舞台の着想を詠美さんが幼い頃過ごされた静岡に得ていたりするところも、『風葬の教室』などとリンクしているなあと思いました。作風は少し違っているようにも思いますが。 登場人物は最初は幼く、章を追って中学生、高校生と成長していくのですが、そんなに幼い世界で起こっていることなのに、こちらがはにかんでしまうくらい、官能的でした。直接的でわかりやすい官能ではなくて、この小説で描かれている官能は、周到に隠されているというか、抑えられているというか、そこが余計にエロティックで惹かれます。ページをめくる手が止まりませんでした。 でも少し残念なのは、語り手である主人公にしても周りの人間にしても、『ぼくは勉強ができない』の秀美くんのような、カリスマ的な「魅力」が感じられないことです。かっこい人物はあまり出てきません。この作品でスポットライトが当てられているのは、そういう個人の人間性じゃなくて、男と女の不思議な関係性だからだと思いますが。
でもそれを差し置いても、本当におもしろかったです。はにかむエロさがあって、分かりやすいエンターテイメント的な恋愛小説より、ずっと、心に残る作品です。さすがです。
一緒に口ずさんでいると苦しくなってくる位せつなくていい曲ばかりです!!私も発売した事を知らなくてパッケージの写真を見て若い頃の!?と思ってました。本当にあんまり宣伝されていないのがもったいないです。すごくいいです。
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