作家の三浦しおんさんが、この漫画を絶賛していた。
「全編、冷たく青白い薄明の空気が張りつめたようなうつくしさ。ありがちな筋書きを決然と拒否。 常識を突き破って宇宙空間に到達している。もはや神業」。
彼女がそれほど言う漫画とは何なのか。書店に行き、手に取り、最初の見開きを見て、購入を決めた。
1ページを均等4分割し、話を進める。少女漫画は、コマ割を超えて花びらが連続したりする柔らかさが 特徴なのに、ソリッドに制御され切った、画面のストイックさ。そこから生まれる緊張感、静謐感。
「やっぱり仲間になれないか。 積乱雲。まるで、夏ね」
この科白。ヨーロッパのモノクロ映画を見ているような画面。そのくせ妙に色彩や匂いを感じさせもする。
行間を読む。ということが言われるが、この作品は、コマの間を、こちらの想像で埋めていくような 読み方ができる。ページの中で、どこからか音楽が聞こえてくるような、不思議な時間が流れる空気感のある作品。
全体が詩のような一冊。読み進めるうちに、その世界がこちら側にしみこんできて、 本を置いた後、その世界を懐かしく思い出し、それにまたひたりたくなる。 そういう気分になった漫画は、これが初めて。
お勧めされたものの、綺麗で王道の少女マンガ!という絵柄が少し苦手でなかなか気が進まなかった。 だが、読んでみたところあっという間に読んでしまった。
綺麗な人形に潜む、まるで麻薬のような危険な香り。 人形の美しさに翻弄され身を滅ぼしたり、新たな自分を見出したりと様々な人間の本質、欲が描かれている。 皮肉も織り交ぜられ、まさに現代のグリム童話のような作品。
読み始めは人形屋さんのどこか不気味な店員を、案内役にしたらすぐに物語に入り込めるのではとも思ったが、読み進めていくうちに徐々にそしてぐいぐいと独特の世界観に引き込まれていく。
人間のような人形を高額で買い愛でることに、どこか違和感を感じてしまう人もいるかもしれないが、いつかの未来にこのようなお店が本当に登場してしまうのでは?と思わずにはいられない。
絵柄すごく好きなのに、だからこそストーリーがどうしても受け入れられない場合があるのですが、このお話は現時点では百点満点(〃▽〃)
他の方のレビューの通り「観用少女」が好きな人は多分「好き」大丈夫でしょう。
「観用少女」は辛いお話も多いですし、ポップな時もありますが、こちらはもう少し優しい雰囲気だと感じました。
昔々に見た幻想的な風景、満月に照らされた雲海を思い出しました。
河原さんの作品がお好きじゃない方には理解し難いかも…? 個人的には、伊良部先生=宮迫さんをはじめ、キャストが絶妙なのでとても気に入っています。
|