『ふたつのスピカ』に続く柳沼行氏の漫画。この1巻ではまだまだ物語の本筋は見えてこない。 ですが最初の最初から大きな伏線(恐らく回収は暫く後になるでしょう。楽しみだ)が張られています。正体不明のキャラも居る。これからの展開が非常に楽しみな1巻です。 時代劇ということで、『スピカ』のSFからいきなり時代劇?柳沼さんがチャンバラ描くの?と不安でしたが、私は1巻を読んだら安心しました。 氏の描く温かい世界がここにもあります。 画力のほうですが『スピカ』後期で氏なりの安定した画風を手に入れた気がします。 いわゆる"凄く上手な絵"ではないけれど、私は大好きです。あったかい。
『ふたつのスピカ』で作者自身が「書ききれなかった」と語っていた"あの緑色に光る星"。 『群緑の時雨』でその答えを知る日が楽しみです。
一番信頼できる奴が、一番心を許してはならない輩なのかもしれない。だけど、娘さんの遺言の手紙は反則級に私の頭をシェイクします。一体なにが起こっているのか、何が本当なのか、全ては漆黒の湖上に浮かぶ夢城の謎を解ければ憂いは晴れるのでしょうか?
これが最終巻になりますが、柳沼さんらしいと言いますか、全編通して胸がギュッとなるような物語でした。短編の部類に入るとは思いますが、内容が大変良質な漫画でした。生きていれば辛いことのほうが多いけれど、そんな中でも共に歩く道連れのような存在が人にはあるのじゃないかという希望のようなものが、スピカにも本作にも共通して描かれているように思いました。また、無駄な描写は一切ありません。全てが物語の先への伏線です。そして、柳沼さんの描く絵は、いつでも爽やかな風が吹いているかような気持ちにさせられますし、カラー絵がまた素晴らしい。迫力のある一巻目のカラー絵には驚きましたし、同時に優しい繊細な色の塗り分けが出来る漫画家さんはあまり知りません。人物の繊細な心の動きを少ない線で描いてみせるのはさすがだなあと感心してしまいます。また日本の教育から外されている忠孝の精神を感じ取れる物語でもあります。 とにかくは全巻読んでいただきたいとお薦めできる漫画です。それと最後にスピカがああいう風につながってくるのかあと意外でした。大変素敵な、素晴らしい物語でした!
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