「ウナ・セラ・ディ東京」「旅の宿」「亜麻色の髪の乙女」などなど誰でも経験してきた名曲が著者の体験を通して、林さん自身のクリエイターの立場からの一定の見識を保ちながら、次々と紹介されています。自然にわたし自身の体験が甦ってきて楽しく拝読できました。音楽を友とする普通のヒトの感性と、長年作曲家としてご活躍されてきた筆者のプロの感性とが合わさって、とてもバランスのとれた名曲紹介になっていますね。良い本をありがとうございました。
定年を迎えた夫が急逝してしまう。 専業主婦だった主人公に、夫の死を迎えたその日から いろいろな出来事が襲う。 相続の話や、信じ切っていた夫の愛人。 息子や娘。 友達関係。 周りのいろいろな出来事。 そんな中で 少しずつ自分を見つめなおして 立ち上がっていく。 定年離婚なんて言う言葉もある昨今。 やはり 私が思うのは・・・・ 女の強さ。 (笑) いろいろな立場の違いによる考え方の違い。 心の機微も微妙なタッチで見えてくる。 この映画は、熟年の夫婦・奥さん・旦那さんが みるといいかも。 (笑) それぞれの立場で見方も変わる?? (笑)
作曲家として多くのアーティストに楽曲を提供してきた著者が実績、経験に基づき一般の人にも作曲を楽しんでもらおうという趣旨の本。作曲はそんなに難しいものではないというメッセージ自体には共感しますが、やはり音楽に関するバックグラウンドがないと、入っていけないというのも事実。分かりやすい解説を心がけているのは伝わってくるのですが、本当の初心者には理解不能なのではないでしょうか。もっと簡単な本で勉強してからこの本でも遅くないような気がします。
80年代のJPOPを語るのに絶対的な存在である林哲司。世間に彼の名声が聞こえ始めた「真夜中のドア」「September」から菊地桃子への曲の提供といった全盛時代を経て今にいたる仕事が、インタービューも交えながら紹介されている。特に仕事仲間から見た林哲司という側面からの記事も多く、萩田光雄など他の本では出てこないようなレビューが興味深い。
80年代邦楽を語る上では、絶対外せない作曲家は林哲司であろう。勿論この時代に他に敬愛する作曲家はいるが、同氏のメロディーセンスはずば抜けて優れている。メロディーの好みには個人的趣向がかなり影響してくるので、共感を得るのは中々難しいはずだが、普遍的なメロディーの美しさを良く熟知しているなというのが素直な感想であり、それが最大の武器でありこれだけの需要を獲得したのだと思う。 特に同氏の特徴は、マイナー調の比率がずば抜けて高いという事実だ。個人的にそのようなメロディーを好むからこのような文になるのかもしれないが、やはり感傷的なメロディーこそが世界に誇れる邦楽の武器だろう。 後、思うことは彼の曲は、自然と曲自体にテーマを色づけしているように思える。例えば「悲しい色やね」「パズルナイト」のようなアダルトでお洒落な雰囲気を湛えているような気がする。或いは、「サマーサスピション」「北ウイング」のような洗練された都会性などか? それと、密接に関連していると思われる部分が80年代の彼の曲を聴くと、古さを殆ど感じない事だ。まだ全体的に古めかしい楽曲が多かった邦楽界において、彼の楽曲はいち早くデジタル楽器を取り入れていたような印象がある。そのような先見性もまた聴き所だろう。 菊池桃子の大部分のキャリアを彼がほぼ全面的に手がけたのは有名な話だ。曰く、「既存の薄っぺらい既存のアイドル歌謡を打ち壊し、さらに一段上の曲を目指していた」みたいなコメントを以前していた記憶がある。有言実行とは、正にこの事である。菊池桃子の楽曲、つまり林氏の手がけた彼女の曲は、捨て曲など一つも存在しない。アイドル界にまで、洒落たアダルト性、洗練されたアーバニズムまで持ち込むなんて。。。やはり流石だ。
とにかく、このアルバムにさえ捨て曲は全く存在しない。 名作曲家である。
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