僕は97年フォーライフ盤(FLCP-1005)で本作品を聴きました。こちらは日本用ボーナストラックが3曲で「Swat & Rut」という曲が入ってる2枚組です。解説によるとボーナストラック3曲は本作品のために録音されたものの収録時間の都合でボツになった曲だそうですが、個人的にはこの「Swat & Rut」という曲は余り好きじゃないので、余程のイーノ・マニア以外は聞かなくてもいいんじゃないかと思います(笑)。
全体的な音の方はというと、本作品制作時より数年前の例で恐縮ですが、YMO「テクノドン」や立花ハジメ「BAMBI」に近い聴き応えの曲が多いんですよね。だからこの辺の作品が好きな人は本盤もアリだろうし、ダメな人は他のイーノ作品と比べると「あれ?」という印象を持つでしょう。少なくとも他のアンビエント作品の静逸さは薄い作品で、チープなシンセがプリプリ鳴ってる小品が沢山入ってます。
この頃を振り返ると、クラブ・ミュージックの進化がまだ一応続いていて、彼らのようなオリジネイター達の音もハウスの進化過程と関連して文脈化されていた時期です。ところが、実際彼ら自身は「ハウスの空爆に耐えて」(by立花ハジメ)音を作っていたような側面が強くて、共通して「踊るための音楽」から距離を取った作品を発表していました。本作品はイーノがわざわざ日本のマイナー・レーベル(フォーライフ)と契約して発表した作品ですが、同じ時期に色んな仕事を他レーベルでやりながら、こういうベクトルの音を日本のレーベルから出していたということ自体、何か彼の中で必然的なものがあったのではないかと僕は夢想してます。
USBに入ってるならあまり場所も取らなくていい!と思いましたが中のデータは抜き取りできる訳ではないので結局CDはいりますね。
ハートの部分がUSBのふたにあたります。USBは安全ピンの部分ですね。コレクションとしての価値はあると思いますががっかり感はちょっぴりあります…
何も要らない。雑味などまったくない。ドビュッシーの世界のような浮遊感にMusicForAirportの様に無機的でいて刺激的。不思議な世界に迷い込みどっぷりと身を浸して欲しい。純粋でいて余計な物もなくジョンレノンのイマジンの世界を音で表現したかのような無境界さである。理屈など通用しない。もう二人の翁は確実に何処かに行っている。
旧クリムゾンから'80s新クリムゾンへのまさに真空の過渡期、音とコンセプトも一聴してワケのわからない、凶暴な牙の剥き出しによる困惑とリリカルな調和の二律背反で聴く者を静かな覚醒に導くフリップ先生によるグルジェフなソロ・アルバムである。旧クリムゾンのケルティックでヨーロッパな叙情性から一転、バーバー・ショップでこざっぱりと髪をカットし髭を剃り、時代の息吹きであったパンク・ニューウェーブの懐を拝借し、「ニュー・ヨークが呼んでいる」と海を渡って現代的即物的なN.Yのキッチンから黙示録的な時代の到来をエクスポージャーした。ほとんど「ロバート・フリップwithダリル・ホール」アルバムとも言える「サード・エディション」は、契約上の関係からお蔵入していたオリジナルのインスト・トラックをリミックスに置き換えて本作で初めてお目見えしたヴァージョンである。「ファースト・エディション」のインスト・トラックに「サード・エディション」とボーナス・トラックN18、19のダリル・ホールのヴォーカル・トラックを乗せれば、さしずめそれが当初意図された「オリジナル・エディション」に近いものだったということになる。これではダリル・ホールのアルバムだかロバート・フリップのアルバムだか分らないということで、ホール側のマネージメントからダウトがついてお蔵入りとなっていた。 余談だが、LP時代のN3「ブレスレス」の邦題は直球翻訳の「呼吸困難」だったから、心臓発作に見舞われた人物を描写した曲だとばかり思っていて、ソレはソレでマッチしていて面白かったのだが、「太陽と戦慄パート2」や「レッド」と同系譜のフリップの「息も止まる」必殺ギター・リフ曲であることがタイトルの意であると気が付いたのは最近である。
"It's No Game (No. 1)"
"Up the Hill Backwards"
"Ashes to Ashes"
が◎。
リマスター→良好
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