ほぼ全篇にわたり、ミニチュア合成特撮とアクションシーンでまとめられた、 非常にピッチの高い構成。もちろん時代を感じさせる単純すぎるストーリー・ ラインや、黄金バットのほとんど手抜きに近いアクションなど、今のレベルから 語ってしまうと幼稚な部分も散見されるにしても、これだけハイ・ピッチで、 展開していくところは、2時間を越える巨編がアタリマエの今の重厚と いうよりは鈍重な映画群にくらべれば、はるかに飽きさせない。 最新の東映ヒーロードラマ(仮面ライダーシリーズなど)に繋がる、タイツコスチューム に身を包んだ悪の手先軍団や、若き日の千葉真一など、見どころ も多く、また、雰囲気重視のロケーションや特撮など、当時の少年を わくわくさせた背景も楽しい。ある意味あっという間の80分弱。
LPをレコードプレーヤーにかけ、最近聞きなおして、アメリカのカウンターカルチャーが夢に思えた69年ごろ。日本を恥じて「ここではない場所」アメリカへ行った東京キッドの仲間たち、その日本を望郷し、アメリカに対する愛憎を語る過激なセンチメントに満ちた台詞に心がふるえました。このLPでは演技的な小林由紀子の「空飛ぶ黄金バット」等の台詞より、≪個人的な体験≫を語る団員のセリフが聞きもの。斎藤正一は「ニューヨーク・タイムズよ、こんにちわ」でアメリカ文化のアイテム“モンロー、キング牧師、LSD”等などを挙げます。長倉恭一は「ストライク・アメリカ」で“俺にとって何が必要なんだ”と自分へ問いかけます。深水三喜は「アメリカを遠く離れて」でベトナム戦争が続く限り一番ダメな国に“アメリカよ、さらば”と別れを告げます。 そして、わが日本。峰のぼるが「マリファナ・USA」で“日本、小さなアメリカ合衆国よ”と呼ぶ日本です。中川節子“セッコ、ニューヨークに飽きちゃったんだよ・・・マンハッタンの向こうに新宿の三光町が見えるんだよ”と日本への「望郷」を語ります。小林由紀子も「まつり」で、“あたしは、日本なんかキライだよ、だけど祭りだけは好きなんだ”と告白します。ちょっと出来すぎのセリフだと思いますが。 高校時代から付き合っていたものの、劇団の活動に集中した結果別れて、人妻になってしまった恋人に対して斎藤正一は、「ラヴ・レター」で、“芝居が終われば汗は乾いてしまう。さびしい。荷物をまとめて、夜汽車に乗って東京に来てくれないか!”と訴えます。センチメンタルの極みですが“泣けて”しまいます。加藤栄は「まんだら」で“子供くらいしか産めない女だったのに”堕胎してしまった、その怒りを呪文でぶつけます。 あの時代、あの日、あの時間、舞台上ではなく平場の劇場で、東京キッドブラザーズの団員たちの≪体験≫を共有し、共感していた人々が確実にいました。それがセリフの力で分かります。貴重な記録です。
DVDは高いです。 しかし黄金バットの笑い声が自分はとても好きで、よく真似して笑ってます。フフハハハハハハ。
黄金バットは、あまた存在する正義の味方の中でも 最強だと思う。まず、決して死なない。これは すごいことである。鉄腕アトムは高々10万馬力だが、 黄金バットは、必要に応じて必要なだけパワーがある。 大地に両手を突っ込み、地球を真っ二つに割ることも朝飯前。 マシンガンの攻撃をシルバーバトンで見事に防御してみせるが、 実は弾にあたっても痛くも痒くもないタフさ。 怪物に呑みこまれつつも高笑いを決してやめない余裕さ加減。 そして正義の味方らしからぬいかつい容貌。 そして無口。 暗闇バットの「オマエは何故強いんだ?」に対して曰く、 「それは正義だ。」 究極の正義の味方だ。
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