繊細な文字で埋められたシャーロットの直筆原稿や手紙、父や弟妹達と日々を過ごした牧師館、 手作りの品や在りし日に使っていた道具類など、彼女の面影を感じさせる写真や図版がたくさん 掲載されています。しかし、図版だけではなく彼女(達)の詳細な小伝もきちんと付されており、 シャーロットやブロンテ姉妹の愛好家なら、一度は開いてみたい一冊ではないでしょうか。 この本は彼女の人生を順を追ってたどる形式になっています。写真や図版と併せて丁寧に読んでいけば、 なぜあのような名作が次々と生まれたのか、どんな人生がその背後にはあったのか、それを少しでも 理解する手がかりになるかと思われます。 わずか1年の間に3人のきょうだい達に次々と先立たれ、身を切られるような孤独の中、 決して丈夫ではない身体で執筆に自分の全てを注ぎ込んだシャーロットの人生に触れることは、彼女が なぜ(生きた時代の違いはあったにせよ)ジェイン・オースティンの作品を認めなかったのか、 なぜあんなにも書くということに魂を込めたのかを知るよすがにもなるでしょう。 結婚式にかぶったボンネットとヴェール、新婚旅行で着た色褪せたドレス、そしてまだつやの残る 遺髪の写真は、感慨なしに見ることは出来ません。38歳という、今ならまだ女盛りの若さで 亡くなったシャーロットの内気そうに微笑む姿が目に浮かんでくるようです。 ファンの方はもちろん、そうでなくともおすすめの一冊です。
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