1996年作品、
バーナード・ハーマン作品をサロネン指揮、ロサンゼルス・フィル演奏でおくる映画音楽集、
この邦盤は品切れですが、輸入盤では通常に購入可能、検索はクラシック・ジャンルでsalonenと入力すれば見つかります、
本CDがちょっとポイント高いとすればサロネンがノーマン・ベイツになったつもりらしいジャケットでしょう、
意味もない暗号や役に立たないつながり、無意味な動作が多く見受けられ、ちょっとスパイには・・・と思うところも。しかし最後まで観客を飽きさせることない、次から次へと起こるイベントに、そのストーリーの娯楽性の高さに脱帽。ヒッチコックのスリラーの中でも、わかりやすさが光る作品。
黒澤明監督の作品もそうだが、ヒッチコックの作品は、白黒映画の時代とカラー映画の時代で、作品の性格が、大きく変はって居る様に思はれる。ヒッチコック作品は、白黒作品の方が、緊張感が高く、映画としての完成度は高い。しかし、カラー作品も、もちろん、ヒッチコックの作品である。人物の性格の明確さ、物語の分かり易さ、そして、観る者をハラハラさせる展開は、この作品でも同じである。
この作品は、東ドイツを舞台にしたサスペンスである。(ヒッチコックは、この映画を撮影する為に、東ドイツを旅行したと聞く)西側の物理学者が、東側の軍事機密を盗み出す為に、東ドイツへの亡命を装い、東ドイツに入国して、東ドイツの科学者とじかに対面する。そして、東側の最高機密を黒板の前で議論をしながら聞き出した上で、西側に脱出すると言ふ、現実には考えられない話であるが、とにかく面白い。東ドイツと言ふ、「共産主義」国家をボロクソに描いて居る所が、痛快である。
冷戦時代、アメリカやイギリスでは、この様に、「共産主義」国家をボロクソに描く映画が作られ、「共産主義」国家が嘲笑されて居た。その事を知る為に、冷戦を知らない若い人達に、この映画をお薦めしたい。それに較べて、同じ冷戦時代、日本では、「共産主義」国家を嘲笑するサスペンス映画など作られた例が無い様に思ふのだが、これは、どうしてなのだろうか。
今からでも遅くない。誰かが、北朝鮮を舞台にした、こんなサスペンス映画を作ってくれない物だろうか。−−北朝鮮が崩壊する前に。
(西岡昌紀・内科医)
夜長のお供
お勉強になります
それぞれの映画話も最高だが、 特にフォロワーについて語った終章が◎。
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