目玉は商業誌初掲載の「溶けた未来」です。
世間には知られてはいけない軍と政府の秘密作戦を扱った一種のデストピア物です。
非常に後味が悪い作品ですが、絵と構成は硬いながらもデビュー前の新人とは思えません。
「恐竜教室」、「レックス先生さようなら」少年ジャンプ掲載。子供の頃、リアルタイムで読んだ作品。
初商業単行本掲載。
原稿紛失の為、掲載誌からスキャン･修復してますので少し荒い絵です。
作者が色々なテーマの作品に影響を受け試行錯誤していた時期の作品で、珍しいギャグです。
後の「国辱漫画」といい、星野氏にはギャグはあまり向いていないと思いますし、本作品集でも浮いていますがファンには興味深い作品です。
レックス先生は後に氏の他作品にもゲスト出演しています。
当時は実名で掲載されていたアイドルグループが別名に差換えられています。
再録短編。
・人口知能付きの思考戦車のサージャントと人間の兵士達の反目と友情を描いた｢サージャント｣
・ルネサンス期のボルシア家のチェザーレ、ルクレチアと天才レオナルド・ダ・ヴィンチを主役に据えたボルジア家に伝わる恐ろしい秘密の話「ボルシア家の毒薬」
氏のルネサンス名画の模写が堪能出来ます。
・人類にとって非常に苛烈な結末なのだが、なぜか不快ではなく主役の野生動物に対する畏敬の念を持ってしまう「サーベルタイガー」。全身銀タイツの知的冷酷な未来女子兵士達の時代を超えた魅力も。
・ブラックなユーモアが漂う、こちらも氏の古代生物の見事な描写が映える｢タールトラップ｣
・有名怪談の見事な翻案で魔性の美女とそれに惚れた男性の悲哀を描く「挽歌」
・後の伝奇作品に通じる離島の遺跡で男が体験した時を越えた魔術的体験と愛しあった女性の話『土の女』
等、佳作揃いでした。
巻頭に氏のカラー扉絵を数枚、巻末に自作解説のあとがき付きでした。
多くの出版社からシャッフルされた短編集が出て居ますが、9作品中3作が単行本初収録ですので星野氏ファンの方でしたら購入する価値は有ると思います。
初めてご覧になる方もSF･伝奇漫画ファンの方でしたらお勧めです。
一部、古さを感じる作品(特にギャグ)も御座いますが、他は時代を乗り越えた作品です。
自分はそれなりに楽しめました。ただ・・時間が短い・・登場人物がベクシル〜〜☆・・悪役は01の隊長ばかり目立つてた〜☆と言う所でしょうか?
くやしい。
1980年に発表された原作を先によんでいればこの面白い作品に正当な評価をすることができただろうに・・・。
しかし、僕は「過去にメッセージを送って現在を書き換える」という同様のテーマの作品『シュタインズゲート』を先に知ってしまっているので、どうしてもそっちと比べてしまう・・・。
それこそ、過去を変えたいほどに悔やまれる・・・。
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