やっぱりこういう悪役が嵌まってしまうジョン・トラボルタ、強烈な個性が爆発しています。クールで極まっている。かっこいい。 対するヒュー・ジャックマン、「Xメン」で観た時からファンになってしまった。「こいつ、凄い。かっこいい」と思ったのだが、前にも増して、良い味を出して、かっこいいです。何だか、若いクリント・イーストウッドを思わせるナイスガイ。 劇中に出てくるTVRの「タスカン・スピードシックス」という車が超かっこいい。「狼たちの午後」「ヴァーナム暗号」等、色々な言葉にも油断できない。 「ミスディレクション」(誤った方向へ意識を誘導)が、タップリと盛られていました。ドキドキ、ワクワク、予想が裏切られる。ムフフフ。
農園の子(白人の農場主と黒人の女奴隷との間に出来た子供)とアフリカ系アメリカ人のハル・ベリーの出自がリンクするような、見ごたえのあるTVドラマ。
まさか、ハル・ベリーはこれほどの苦労は味合わなかったろうが、今のハリウッドだってアフリカ系とかアジア系の俳優に対しての差別は皆無ではないと思う。
このドラマに出演した若きハル・ベリーの勇気に拍手を送りたい。
南部アメリカの農場主の白人男性と機織小屋の黒人奴隷の間に生まれた『クイーン』が、南北戦争の後、奴隷解放された後もさまざまな偏見、差別と対峙しながら生きて行く。
南北戦争後、衰退する屋敷を飛び出して北部を目指すのだが、黒人への差別は根強く、さまざまな障害にぶち当たる。
肌の色の比較的白いクイーンは白人になりすますと、白人男性からプロポーズされるのだが、自分が黒人であると告げると相手の態度が豹変、レイプされて純潔を奪われてしまう。
路頭に迷って黒人たちの集落にたどり着くと、『白人!!』と虐げられる。
生活に窮したクイーンは、敬虔なクリスチャンの年老いたオールドミスの姉妹の家でメイドとして働き始めるが、父無し子を産むと、堕落した売女とののしられ、魂の救済と称して、オールドミスたちから赤ん坊を奪われそうになり、そこを飛び出す。
次ぎに、別の白人の家で乳母として働くのであるが、そこの主人はKKKの白人至上主義者であり、街で偶然再会したクイーンの赤ん坊の父が黒人たちの指導者であったために、KKKに吊るし首にされたうえにオイルで火をつけられて惨殺されてしまう。
絶望の淵に震えながらも、北部を目指すクイーンは、ミシシッピ川の渡し舟の船長の計らいで、第三の屋敷にメイドとして出る。
そこの主人は『奴隷を持った奴隷制度反対論者』であり、白人としては珍しく黒人蔑視のない優しい人柄であった。
そこでも、クイーンは謂れなき黒人差別に敢然とした態度を貫き、周囲と摩擦を起こしてトラブルメーカー扱いされるのであるが、心優しい主人に諭され、縁あって渡し舟の船長と結婚(船長は再婚)、やっと自分の『愛される場所』家庭を持つに至る。
幸福な奴隷小屋での少女時代と母、祖父の死、南北戦争と敗戦、農園の没落と奴隷解放、それに伴う生活不安。
90分の3話構成だが見ごたえのある骨太のドラマとなっている。アレックス・ヘイリー氏の母方の家系の物語だそうだが、凄まじいまでの黒人差別に心が熱くなる。南部の綿花の農場では、黒人はまるで家畜のような扱いであり、気に入らなければ鞭打ち、文字を覚えることも違法なのである。
女の黒人奴隷は農場主の格好の性の捌け口として描かれているが、こういうことは普通に行われていた悪習だったのだろう。女房連中も主人のそんな行為を黙認する描写がある。
クイーンの母と農場主との間には心の交流があり、深い愛情で結ばれているように描かれているので観ているものは多幸感に包まれるのであるが。
主人公ドロシー・ダンドリッジは、1965年に42才で、事故とも自殺とも解される死を迎えた。最初の夫であった売れっ子タップダンサー、ハロルド・ニコラスが黒人としてアメリカで活躍することに壁を感じ人種差別の少ないパリに移りすむのに対し、ドロシーは、南部アメリカで堂々と戦い、次々と黒人女優としての業績を積んでいく。名声を得ても経済的豊かさを誇っても、黒人であることから屈辱的な差別から逃れることができない。エピソードは、胸を打つ。ドロシー・ダンドリッジが生きた時代は、黒人開放運動に奔走したマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師(1929-1968)の時代と重なる。ドロシーの勇気ある活躍は、多くの志ある黒人を励まし、白人社会を変えていくのに大いに貢献した。
実在したドゥワップ黒人歌手フランキー・ライモン。彼の没後その印税をめぐり、彼の妻だと主張する3人の女性が裁判で争う。この映画はその裁判と、3人の女性のフランキーとの回想を同時進行で描いている。 3人の女性それぞれに全く違った顔を見せたフランキー、その栄光と挫折、そんな彼に首っ丈で人生を振り回された3人の女性達、そして黒人音楽を金もうけに利用しては使い捨てにする白人社会。 話のテンポも構成もストーリーもすべてがパーフェクト。黒人で初のアカデミー賞女優ハルベリーも出演、キャストも有名どころばかりで豪華。 フランキーの大ヒット曲(後にダイアナロスもカバー)why do fools fall in love、が題名のこの映画、彼の妻達もフランキーを愛するあまりfoolsになっていたという皮肉。しかし彼女達はベストを尽くして彼を愛したという自信に満ちていて、決して湿っぽくなく、感慨深い映画です。裁判をめぐり最後までオチが用意されていて、まさに現実は小説より奇なり、ですね。
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