砂漠に吹く風(1) (ソノラマコミック文庫)
鬼才明智抄が壮大なスケールで描く本格SFです。
近未来のテクノロジーで誕生した天才科学者のクローン人間、しかしクローン達は成長後なぜか自殺してしまう。その原因がクローン達が持つトラウマであることが徐々に明かされていき、個性豊かな登場人物たちを巻き込みながら物語は展開していきます。
と、簡単に書いてしまうとこんな荒筋になってしまうのですが実際は書きつくせないほどの奥の深い内容となっています。
本作品は絶版となった「サンプルキディ」の後を引き継ぎ、これまた絶版となった「死神の惑星」に続くストーリです。魂の片割れを永遠の時の流れの中で探し続ける少女、完璧な天才の姿に引け目を感じながら苦しむクローン、軍事利用される超能力者の心の葛藤、誰もがいつか帰る
魂の故郷「紫の海」など、奇想天外な発想と練り上げられた登場人物たちの背景などで圧倒的な奥行きと独特な世界を形作っています。
残念ながら連載誌がこのSFを十分に理解する読者を対象にしていないことや、掲載されていた雑誌が廃刊になるなどで恵まれず、あまり話題になっていませんが、この作者の思想やストーリーに共鳴するコアなファンは多く、本作品も実は一度絶版となったのですが、強い復刊の要求が実ってようやく日の目をみるようになったものです。
独特な絵柄ははじめ入りにくいものがあるかもしれませんが、ある種の天才が描くこの本格SFは絶対のお勧めです(というか早く買っとかないとまた絶版になるかも 笑)。
死神の惑星(ほし) (3) (ソノラマコミック文庫)
前シリーズ(サンプルキティ)でもそうでしたが、この作家の作品は、子どもの近くにいる人間に、福音を与えてくれます。
子どもを見つめるときの登場人物のやさしさは、その環境の壮絶さともあいまって、読む者に痛いほどの共感が伝わってくるのです。
読後は近くにいる子供たちへの想いが深くなること間違いなし。 クオリティの高かった前2巻に比べると終わりの巻としてはちょっと尻つぼみ?な気がしましたが、3巻続けて読めばやっぱり秀作(星5つ)!
明智抄ってすごいと思わせてくれます。
ロード・オブ・ザ・リング:二つの塔 オリジナル・サウンドトラック
第1作目であれほどまでに驚異的な音楽を作り出しショアが、この第2作目でもやってくれました。第1作目を超えるほどの大作になってしまいました。 では演奏者が凄いの何の!合唱に第1作目でおなじみのロンドン・ヴォイセス。そして新たにオラトリオ少年合唱団が加わりました。本作にはハーディンガーというノルウェーのフィドルが登場します。これを演奏しているのが名手ダーモット・クレハン。ライタと言う楽器にヤン・ヘンドリックス。そしてオーケストラにはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とそうそうたるメンバー。指揮はもちろん作曲者本人。このアーティストたちによって第2作目は構成されています。
本作の音楽は前作のオペラ的趣向を引き継いだかなりロマンティックな作品になっています。旅の核となる話がこの第2作ですから、音楽も当然3部作の核となってくるわけです。とにかく熱い!でも悲しい場面、別れの音楽などはしみじみとした気分にさせてくれます。後半見所の戦いのシーンの音楽は今までも音楽を覆すような大スペクタクル!戦士たちが仲間と協力しながら敵を倒す場面にはぴったりの大音楽です。民族楽器、ハーディンガーやライタの登場も感動誘います。ショアが前作で学んだファンタジー音楽作りの手法をこの第2作目で完璧に使いこなしています。圧巻です。