北北西のプラトーンぎんちゃんのばっちりアイランド

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軍師竹中半兵衛 (角川文庫)  日本の諸葛孔明こと竹中半兵衛の36年の人生。私は高校生の頃、この本を書店でパラパラ読んだら止まらなくなり、店頭で60Pまで読んでしまい、結局買ってしまった。当時、本を最後まで読んだことが無かった姉が、勢いで全部読んでしまったほど面白い。
 お市の方とのロマンスなど、やや創りが多い印象を受けるが、小説としての面白さは高い。と、いうよりも題材が良いのかもしれない。青瓢箪のウツケと呼ばれた色白の美男。そのくせ難攻不落の稲葉山城を、手勢17名で落とす快挙。そしてすぐに城を返還した潔さ。プロセスこそが生きる張りという人生観。とにかくもう、こいつがカッコイイ。

 歴史小説が好きで、かつ未読の方は折あればぜひ読まれたし。 何んといってもこれぞ隠れた名著。

木枯し紋次郎 (一) 赦免花は散った (光文社文庫) 記念すべき木枯らし紋次郎第一話「赦免花は散った」だが残念ながら
TVドラマ未発表作で映画化はされているが菅原文太氏が主役で
中村敦夫氏のイメージが強い私としては一寸残念な気がする。
さてストーリーだが、幼馴染の兄貴分に騙され絶海の孤島三宅島に
流されるのだが、流人仲間と共謀して脱出し自分を騙した兄貴分を
探し出し復讐するという内容だ。
南海の楽園とはほど遠く、近年起こった島民全員島外避難のニュースを
見てもそうだが火山の爆発による溶岩の流出と毒ガス。
受刑者への銃殺刑が青く晴れ渡った空の下、9月なのに真夏の様な暑さ
が非情とも思えるようなムードの中でボロボロの衣装を着た流人達
の見守る中おこなわれ、読み手のほうも汗がにじんでくるようだった。
三宅島の噴火が起き、島民たちの大混乱に乗じて紋次郎と流人グループ
が脱出に成功した場面は映画「パピヨン」とアレクサンドル・デュマの
「モンテクリスト伯」を連想させた。
お花・源太の島抜け船上のまぬけな行動には笑ってしまった、流人同士の
結束の無さが一層紋次郎の孤高さを強調する様に思えた・・・。

家光謀殺―東海道の攻防十五日 (文春文庫) 家光の上洛途次に、その暗殺を狙う「雨夜の月」一味のはかりごとを阻止しようとする宮本武蔵、由比正雪、丸橋忠弥たち。江戸から東海道に沿ってのロードノヴェルの結構であり、地図を傍らに読むべし。流石に手練の笹川佐保、地理、歴史への抜かりはこれ無く、さらにその上、『木枯らし紋次郎』のニヒリズムのスパイスもかかり、唸らされる。
奇想のアイデアも山田風太郎ほどのラディカルなものではないが、濡場とチャンバラのバランスもよろしきを得てまずは愉しめる1冊。
『地図で訪ねる歴史の舞台』という地図帳は細部であまり役に立たず、平凡社の『日本地図帳』と併せ見て物語を追った。「越すに越されぬ大井川」や天竜川での戦闘シーンは秀逸であるとともに、さりげなく挿入される史実、地名の由来にも作家の周到な配慮を感じさせられる。風太郎の『魔界転生』では島原の乱が登場するが、それと同じく「知恵伊豆」こと松平信綱が家光を守る一味の首領。宮本武蔵の造形は、風太郎の場合「悪役」で信綱および柳生十兵衛に敵対するが、こちらでは味方となっている。しかし柳生宗矩こそ武蔵の仕官を阻む元凶であり、徳川家を快く思わない武蔵は・・・・・・。

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