バロック音楽を知るための本として読んでみましたが、この本はそれに留まらないすごい魅力があります。
トン・コープマンといえば、バロック愛好家なら誰でも知っている音楽家。世界的に活躍する人間がどのように音楽と接し、遥か昔の音楽を、どのような姿勢と観察眼で理解しようとしているか、音楽家としてのいろいろな「視線」が随所に感じられます。
単なる解説本なら評論家や学者にも書けますが、血肉となったことばは、彼のような音楽家ならでは。
バロック音楽云々というだけではなく、音楽家の勉強方法、生き方、姿勢を感じられるこの本の魅力は計り知れません。
古楽器の鬼才、コープマン指揮による89年録音のアルバムです。
ディベルティメントには、もともと、「楽しみ、レクリエーション」といった意味があるそうで、身構えて聞く音楽ではありませんが、モーツァルトの創る、何とも、愉悦的なメロディによって、本当に、聞いているだけで、楽しくなる楽曲です。
そこに輪をかけているのが、アムステルダムバロック管弦楽団の古楽器の音色。他のレビュアーも仰っているように、天国ではこんな音が流れているのではと思わせる澄んだ音色で、この愉悦的なメロディを、より、素晴らしい、爽やかなものにしています。
朝の通勤時、あるいは読書時等、聞くだけで、爽やかな気分にさせてくれる一枚です。
ハイドンの107つの交響曲には短調作品が11ありますが、そのうち6つが1766年から73年の時期に集中しています(いわゆる芸術・文化の潮流としての「疾風怒涛期」に数年先立ちますが、その特徴をハイドンがいわば先取りしているような作品群が生み出された時期としてこの時期の作品を「疾風怒涛期の交響曲」と呼びます)。そのうちの3曲をカップリングしたのがこのディスクです。
モーツァルトの作品で、例えばディヴェルティメント ニ長調(モーツァルト:ディヴェルティメント集)のように、極めて斬新で時に過激とも思える表現をするコープマンですが、このCDではむしろ衒いのない真摯な表現に徹しています。その結果、この時期のハイドンの心の奥の変化を示すといわれる短調作品の悲しみがより引き立てられています。特に、第44番ホ短調《哀悼》の第3楽章アダージョはハイドンが生前、自らの葬儀での演奏を希望したほど作者本人のお気に入りであったということですが、それが良く分かる高貴で静けさの溢れる名演となっています。単発のディスクでこの時期のまとまった演奏を聞くことのできるものが少ない中で、貴重な一枚だと思います。
コープマン指揮アムステルダム・バロック管弦楽団&合唱団の演奏によるバッハのカンタータ6曲を収録したDVDで、オランダ・ユトレヒトのピータース教会ほかで1997年頃に録画されたものです。
収録曲は第106、131、140、147、211、56番で、初期から後期、ソロ・カンタータや世俗カンタータも含む、バラエティに富んだ選曲です。バッハのカンタータを初めて聴くという初心者の方からマニアまで、幅広く楽しめる内容となっています。
各曲とも始めにコープマンによる解説が収録されていて、時にはチェンバロを弾きながらの彼独特の畳み掛けるような口調の解説には思わず引き込まれてしまいます。演奏もCDの全集同様に、親しみやすくまろやかな味わいのあるすばらしい出来です。「コーヒー・カンタータ」ではカジュアルな衣装でちょっとした演技もしていて楽しめます。
ソロ歌手はボンゲルス、ラーション、グリム(ソプラノ)、マグヌス(アルト)、オディニウス(テノール)、メルテンス(バス)の計6名が参加しています。CDの全集にも参加しているメンバーなので、違和感なくコープマンの演奏と調和した歌唱を聴かせてくれます。特にメルテンスが第56番のソロだけでなく、全6曲にわたって安定感抜群の大活躍ぶりです。
約10年前の録画ですが画質・音質とも良好で、美しい教会内での演奏場面と古楽器や合唱の響きを存分に楽しめます。バッハファンにはぜひおすすめしたい、魅力的な「見る」カンタータのDVDです。
不満な点は第147番だけコープマンの解説がないことと、日本語の歌詞対訳が「コーヒー」以外文語訳であることです(杉山好氏の訳ではありませんが)。バッハのカンタータの魅力を多くの方々に普及するためにも、ここはぜひ口語訳でやっていただきたかったのですが・・・
クラシックは好きですが、詳しい方ではありません。
クラシック集のCDの中で「いい曲だな〜」と思うのがバッハの曲ばかりだったので今回購入してみましたが、もともとバッハが好きだったからでしょうか、聴いていて落ち着きます。
6枚組というのには正直勇気が要りましたが、毎回違うディスクを選べる感じで手軽に聴けています。
曲もCMなどでよく聞く曲が多い気がします。
お値段の割には曲数も豊富で、入門編にはもってこいかも。
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