この手のゲームの主人公は、割りとタナボタ式に見初められて(潜在能力がどうとか)何かの試練を受けさせられるというのが王道かと思いますが、この作品は違います。主人公もライバルである二人の少女も、憧れの《聖乙女》を目指してたゆまぬ努力を重ね、ゲーム開始時点で晴れて候補生に選ばれているのです。その自負は初めての候補生同士の会話に如実に表れていて、誰もが自分こそ未来の聖乙女だと主張して憚りません。自惚れでも何でもなく、それだけの自信を持ち合わせている彼女達は極めて魅力的。男性キャラよりヒロインを好いた乙女ゲームはこの作品が初めてでしたね。
実は元祖のPC-FX版も持っています。(笑) このPS版ではFXにはなかったイベントの追加(舞踏会その他)や、新たにグラフィックも描き直しているので、FX版でプレイした方にも楽しめる内容になっています。 プレイヤーはアルバレア王国の聖乙女候補として、ライバル2人とスキル(剣術魔術他)を磨いてその座を競います。その先生役と遠征した戦闘のパーティでともに戦うのが、「聖騎士」と呼ばれる5人の青年です。その聖騎士達+αが恋愛対象です。(しかしαの方がすごく人気が高いのも事実です。探してみて下さい。) もちろんアンジェリークのように、最終目的は聖乙女になることですが、この聖乙女になるのが非常に難しい上に、(しかも、就任直前までライバルとの差が分からない…)聡?騎士たちとの恋愛EDも結構偶発的なイベント条件があったりするので、難しいゲームです。結構なめてかかると痛い目をみます。 攻略が分からない方は攻略サイトを、廻ってみて下さいね。 グラフィックは原画家さんより、ゲームのグラフィックの方がわたしは好みでした。(特にロテール様)こういう恋愛育成シミュレーションが好きな方で、グラフィックが好みの方はやってみて下さい。声優さんも結城比呂さんとか結構有名な方が多いので、ボイスも及第点のゲームです。
恋愛シュミレーションゲーム「アルバレアの乙女」の小説下巻。
ただし、この小説は各話ごとに完結していると考えていいので、下巻といえども上巻の物語とのつながりはあまり無い。
(下巻に収録されている二話も繋がっていると考えない方がいい)
この小説中、もっとも素晴らしいのはやはり「聖乙女の翼」である。
麗しく身分も高い伯爵ロテール(ゲームと比べるととても誠実な人柄である)との恋におちたアシャンであったが、彼女の心はあくまでも聖乙女になることを望んでいた・・
現・聖乙女であるマリアの語る過去と、籠の鳥の比喩がアシャンの(そして女性の)自由と幸せについて深く考えさせる。
ただ、ロテールファンのためなのか恋愛心理描写のページ数が多く、情緒的で冗長気味。
(ゲームの根底にある)女性の自由と自立というテーマが伝わりにくいので、テーマに直結したマリアの話などにもっとページ数を割いて欲しかった。
隠しエンディングを含め、ゲーム攻略に必要な パラメータ数値と、その上げ方や、イベント発生条件が 細かく記されており、ゲームを楽しむために非常に役に立ちました。 ただし軽くネタバレしてしまうのは致し方ないことなので、 ネタバレを避けたい方は、攻略ガイドに頼らずに手間隙かけて 攻略していくことをお勧めします。
「アルバレアの乙女」はアンジェリークと同じ乙女ゲームと呼ばれる分野であるが、この小説では、恋愛対象となる聖騎士を理想化する事なく、等身大の若者として描いており好感が持てる。 また、主人公に魅力が無くなりがちな乙女ゲームとしては珍しく、主人公の性格設定がきちんとしており、その点も良いと思う。
また、アルバレア王国の一般庶民から見たリアルな世界観や、「民族の誇り、騎士の勇気」で異なる民族同士の葛藤をテーマに、友情と平和の必要性について語っている所も高く評価できると思う。
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