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オーストラリア戦を引き分けもう後がない日本
そんな中、戌井のインタビュー記事でチームに不協和音が生まれる。
 今回は紅白戦からイラン戦序盤が収録されています。
 それにしても、毎度戌井にぞんざいな扱いを受けてもフォローし続ける崎谷と青野は本当に健気だな(笑)
 
 本編も面白いですが個人的に気になったのは、巻末の「西村雄一国際主審への取材記」
 審判から見たサッカーというのは、テレビなどではなかなか知れないものなので興味深いものばかりでした。
 
 印象深いのは、南アW杯決勝審判団に送られたメダルを堀内先生に見せての西村氏の言葉
 「自分としては選手がメダルを日本へ持って来てくれる方がいい」(※レフェリーは自国が出場する試合の笛を吹けない)
 
 本当に近い将来そんな日が来てくれる事を願いたいです。
 
 
   
前の巻に引き続きオーストラリア戦の結末が描かれています。
 貪欲にゴールを目指すFW、闘い続けるDF、葛藤するMF、誇りを持つGK、勝ちを求め続ける監督、本心を狙う記者。
 すべてのキャラクターが色々な要素をもち、それでいて熱くなっている。
 
 そんなプレイヤーのとても魅力的なサッカーを描いてくれています。
 
 これからも期待が高い作品でいてくれそうです。
 
 
   
塀内夏子さんの作品のファンですが、この作品を知ったのは、弁護士の吉峯康博さんのブログでの紹介でした。同ブログによると、本作は1993年初版であり出版当時は大手新聞社に取り上げられるなど話題を呼んだものの、現在絶版となっており中古市場でしか入手できず、少年事件の冤罪を無くすため、是非復刊させたいとのこと。最近の冤罪事件に係る世間での採り上げ方を見るにつけ、塀内さんが当時どの様に作品化していたのか興味が湧き、購入して読んでみました。
先ず、塀内さんらしく、相当資料を集めるだけではなく、恐らくは様々な方面への取材等をして自分なりに練り上げ作品としたのだろう、ということは分かります。「冤罪」が発生する状況や、犯人に仕立てられる人の心象風景等は極めて整理されて、読み手にストレートに伝わって来ます。吉峯弁護士が「冤罪を知らない方々への教材としたい」という想いも、理解できます。良作だと思いますので、こうしたテーマに関心のある方は一読をお勧めします。
 しかしながら、現在においては、「冤罪」とは、警察や検察の無理筋のみに起因するものでは無い、ということは、最近の障害者郵便悪用事件等での現状を見れば明らかではないでしょうか。例えば、何故上記のような無理筋が出来上がるのかと言えば、起訴事件の99%超が有罪となる司法の機能不全、その土壌の基礎となっていると思料される法曹界・司法界・行政(賢察)界の一体化、等、日本の司法制度そのものが原因であることがそろそろ明らかになって来ていると思います。この作品が出版された17年前においては、ここまでの整理が出来ていなかったので止むを得ないことではありますが、現在においてはやや事象と捉え方が一面的に過ぎる印象が拭えません。
 塀内さんの意欲作、力作ではありますが、購入される方はその辺を少し考慮し割り引いた評価をすべきかと考えます。
 
 
   
ビッグコミックスピリッツで途中での連載中断もあり、最終の3巻の発行まで随分間がありました。連載中も感じたのですが、3巻目の回では、最終話までのテンポが突然あがってしまったように思え、
 あまり人気が出なかったのかとも感じました…
 塀内さんも、とても失礼な言い方ですが、取材を重ね、ハンドのルールや御術的な描写にも慣れたか
 なと感じていただけに、連載終了は、残念に思いました。
 ヨーロッパ圏では、サッカーに続くほどの人気スポーツですが、日本ではマイナースポーツ。
 何しろ新聞のスポーツ欄ではバトミントンや重量挙げ以下の扱い(苦笑)
 聞くところによると、日本リーグ所属の実業団チームでも「選手は正社員枠での採用をしない」企業
 もあるとか。
 今年のインターハイ決勝はNHKですら女子のみの放送。
 もう少し連載が続いてハンドの周知に役立って欲しかったという思いでした…
 
 
   
 隠れた逸材、隠れた強豪が、いよいよスポットライトを浴びる。そんなステージの第二巻です。
 
 塀内作品って、イカロスのときもそうだったんですが、傍流と言うか、
 隠れテーマと言うか、そんなものが結構重かったりして。
 生活保護者の問題と言うか、貧困の問題と言うか、残された家族の
 問題と言うか、コメントしにくい重いテーマがあって、その点、考え
 させられてしまいます。
 涙のバレーボールの時なんかは、このチームでプレーできるのは、あと
 僅かって言う、残り少ないこの時間にかけるって思い。それが私にとって
 全てでした。
 史上最低のレガッタになると、これはもっと重い問題になってきて、
 そのときには分からなくても、実際そういう人たちと出会ったりすると、
 考えさせられてしまう。終わりは単純でしたが。
 変遷。なんでしょうか。
 
 そんな傍流を読みつつ、ガッツのプレーに、思わずわくわくする。
 でも、典型的な負け組の私としては、とんでもない力の壁にぶち当たる
 時。弱者が抱くあの絶望感が、どうしても予感されてしまう。
 ミスバレーボールのときみたいに、一気にロシアと闘う望ちゃんへの
 期待。それと似たような感情と、入り混じります。
 頑張れ、凸凹コンビ。で、80点。お読みください。
 
 
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