キューブリックの遺作。 他界する2週間前に友人のリー・アーメイへ電話で「キッドマンとクルーズがダメにした完全な駄作だ」と伝えたと同時に、「自分の最高傑作である」とも言われた謎多き作品。
撮影日数はギネス記録にも載る400日にもおよび、そのためにキッドマン、クルーズ夫妻はイギリスへ移住したほど。 完成試写会をキューブリック、クルーズとキッドマン、WBスタッフの4人だけでしたというのだからキューブリックが主演の2人を嫌っていたとも思えない。
初期のDVDはキューブリックの遺言により4:3の画面比率、吹き替えなしで収録されていた。 もともと撮影が4:3なので劇場サイズは上下をカットしている。
キューブリックの遺志を尊重して4:3で収録して欲しいのだが新しく発売されるサイズはみな横長ワイド対応。
残念だ。初期のDVDを大切に守り続けるしかないのか。
キューブリックの映画というのは大体が暗い(苦笑) が!音楽でその暗さをカバーしてるといっても過言ではないだろうかっ!という感じです。ストイックで引き込まれそうな感じでもあります。「時計仕掛けのオレンジ」も好きでしたが、これもひけをとらぬ良さでございます。もうさすがとしか言いようがありません。
ん~この映画、ナカナカですね。 停滞気味の夫婦や恋人と一緒に見ると良いでしょう。「最近、刺激がなくなったのよね~」とか友人に愚痴っているのなら、パートナーと一緒に見ましょう。 秘密クラブやそこで行われている行為ってのは、さして意味はないでしょうね。これは上記の“刺激”を意味しているように思われ。 夫婦とか恋人とか、時間がたてば、そりゃすっかり馴染んでしまうでしょうが、もういちどオトコとオンナ、むしろもっと本能的なオスとメスに戻って、互いを欲してみましょうか。 これが、キューブリック最後のメッセージかと思うと感慨深いァ?のです。基本的には、生物学上のオスとメスしかこの世にはいませんから。
比較的聴き馴染みのある曲が多く、クラッシック初心者でも大丈夫です。 映画のサウンドトラックだけあって、リズム感やムードのある一枚です。
キューブリックの遺作にして最高傑作。というよりキューブリック作品は皆等しく「最高傑作」で、これが「遺作」だから必然的に「最高傑作」となる。・・とか書いてしまおう。 個人的に日本公開時に劇場で観た唯一のキューブリック作品でもある。キューブリック死亡のニュースの話題性の中でのロードショウだったが、観終わった直後に「キューブリック先生、やってくれました最後っ屁!」とこの遺作が「最高傑作」となることを疑いも無く確信したものだった。 が、今こうして自宅でDVDで観ると、劇場の大画面の迫力による恍惚感(それが「映画」の本来正しい観方なのだが)で相殺されて気にならなかった「アラ」も認識できる。それはあくまで「キューブリックにしては」というものだが、ハイライトの「秘密の仮面乱交会」以外のシーンにおいては、キューブリックの特色である「ハッとするほど緻密に細部まで計算された」構図、配置、カメラワークのマジックが、末端までは神経が届いていないように見えることだ。しかし、これは監督の年齢も考慮すべきだろう。加えて、もう一つの特色である「エキストラも含めた出演俳優の完璧なコントロール力」にもやや衰えを感じさせるが、これは映画産業における俳優と監督のパワーシフトという時代の事情も関係しているのだと思う。いずれにせよ、劇中のトム・クルーズと伴に味わう尋常ではない危険な緊張感と、入ってはいけない場所に入って見てはいけないものを見ているというスリルに満ちた高揚感を味わえる仮面乱交会の「屋敷」のシーンは、そこに全ての注力を行ったかのように、キューブリックの全作品中における、いや映画史上における屈指のシーンとなっている。 「SEX」「嫉妬」という全人類共通の命題がテーマにあるため、ややもすれば重苦しい緊張感と苦悩が全編を支配しかねないが、コメディー・リリーフである貸衣装店のユダヤ父娘のシーンに、「そう、深刻にならないでくださいねw」と舌を出し微笑む監督の顔が垣間見えるような気がした。そしてニコール・キッドマンの「一言」でエンドロール、絶妙のラスト。 真偽の程は定かではないが「キューブリック暗殺?説」にも絡む「危険」な問題作でもある。秘密結社。儀式。モーツァルトの「魔笛」に因む暗殺説との近似。。。おっと来客のようなのでこのへんで・・
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