タランティーノ監督の"キルビル1"を見た時、特に重要なシーンでもないのにやたら印象に残ったのが、あの真っ赤な空とミニチュアの飛行機。結構大勢の人が同じことを言っていました。なんか昔の特撮(SFXではない)映画みたいだなあ、と思っていたら、なんと元ネタが"ゴケミドロ"だったとは! 作品としては、やはりタランティーノが目をつけるだけあって(?)チープさがぷんぷん匂う60年代B級映画(いや、勿論おもしろいんですよ)で、特にこの時代のこういう傾向の作品にあまり興味のない方には向いていないかもしれません。私も最初購入をためらいました。もしこれが、本編と劇場版予告編のみのありきたりのディスクだったらちょっと失望したかもしれません。しかしこのDVDは特典映像満載、特にみうらじゅん氏のカウチコメンタリーは抱腹絶倒で、一度本編を見てからこっちを見ると二倍楽しめました。こんな作品(いや、勿論おもしろいんですよ)に、ここまでのこだわりを見せる人々の熱い熱気が伝わってくる一枚。マイナー作品はこうして売れ!というお手本のようなディスクです。
「真夏の軍人の反乱」を描いた作品といえば、「日本のいちばん長い日」が有名だが、この映画はその「真逆」をいくもの。
おそらく「三島事件」に触発されてつくられたのだと思うが、「自衛隊不平分子のクーデター」という「架空の事件」を題材にしているので、どうしてもリアリティーにかける。
例えば、いくら事前に情報を得られたとしても、全国蜂起のクーデター集団を前夜に「さくら号の部隊を除いて」制圧することなど不可能。
内閣調査室長の「大活躍」は何事だ。自衛隊を即座に的確に動かすことなどできない。
逆に、総理大臣を徹底的に「狸おやじ」に描いたことは評価できる。これほどの悪人はそうそういないが、こういう悪役がいなければ映画はおもしろくない。
寝台特急さくら号を乗っ取った元自衛官幹部の演説は、まるで三島由紀夫だが、わざとこうしたのだろう。三流業界紙の記者は、本来もっと活躍してもよさそうなのだが。
一番の「ミス」は吉永小百合の起用。これほどの「悪い男連中」の映画に出すなら、若い美人ではだめで、中年の一癖二癖ある女優がよい。監督の好みではなく、映画会社の都合で押し切られたのか?
吉永小百合をめぐった「どろどろ三角関係」を入れるなど論外である。
この時代のオールスター共演だが、へたなちゃんこ鍋のようで、極めて「大味」である。
政府とクーデター部隊の神経戦を徹底的に描くとか、総理大臣の悪辣ぶりをもっと分かりやすく描くとか、硬派に徹するべきだった。
「視点」はよい。「描き方」が煮詰まっていない。だから観客は「消化不良」に陥る。
「暗黒告知」
文句無しの傑作。評価すべきは話の展開、人間よりもその筆力の濃さ。
数年に1度は、物凄い新人が出る最近の乱歩賞だが、はっきりいって本作の筆力はずば抜けている。足尾鉱毒反対派の集団の行進と、その後の警官隊との衝突の場面などは、まるで自分がその場に居る様な錯覚を起こさせる。このシーンだけで本作は★5つだ。
が、「アルキメデスは手を汚さない」で1つ減点。
一体全体、結局、誰が主役だったんだ?
侵略テーマのSFとしては「サイン」を遥かに超える出来の作品。 ジョージ・A・ロメロの中期作品を思わせるペシミスティックな演出が 胃を締め付けるかのように作品のテーマを浮き彫りにしていく。 特に金子信雄の人間の欲を濃縮したかのようなキャラクターには不快感を通り越して殺意すら覚える。すばらしい演技である。 そして、バッドエンディングにむけ突き進むシナリオも、今日のマーケティング全盛の邦画では考えられないほどの完成度である。 画質はレーザーディスク版よりも鮮明、レストアにはかなりの労力が費やされたものと思われる。 コメンタリーが与えるであろう影響への配慮も素晴らしい。DVDは各在るべし、というマイルストーンとなる1枚と言える。
明石全澄(掃部)についての文献も少ない中、よく調べられている。特に大坂の陣についての記述は詳しい。キリシタン大名として、どういう領国経営を行ったかが分からないのが惜しい。何故、明石掃部がキリスト教に入信したかももう少し掘り下げて記述されると文献としての価値が増すと思う。残念なのは、年表が付いていないことと、冒頭で小笠原権之丞との関係を書いているが、詳しく記載されていない。
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