今回も表題のアンドロイト、アリスは終盤に少し出て来るだけでその秘密は明らかにされません。
しかし、3巻より続く主人公シュウの生い立ち、なぜ長距離スナイプは天才的なのに近接戦がダメなのかの原因も含めて、有りがちだと思われた前日譚が大変な説得力と、ポップで奔る絵、極めて映像的なアクションと病的なユーモアを持って描かれており、過去最高の苦い魅力に満ち溢れています。 持ち前のクールで血が薄い感覚を残しつつも今迄の氏の漫画には余り無い直截かつ感動的な人間ドラマ、悲劇をも見事に描き切っています。
大いにお薦めです。
正規のメンテナンスを受けた事により、まともな反応を見せ始めたアンドロイド・アリスにはコロニーの将来を握る秘密が隠されていた。 その事を知らされたアリスの主人;シュウは養父の信頼を失う状況から起死回生の策を試みようとしているケンジ一味にKYな提案をし、交渉は決裂、事態は混迷を極めて行く…。
再び廃墟に点在する文明を維持したコロニーに舞台に戻した5巻。 高い戦闘力を持ちながら心に深い傷を抱え不安定な天才スナイパー、シュウと近接戦のエキスパート;イライザそしてケンジ率いる孤児を中心とした強い結束力を持った少年兵達等が足掻く様子を乾いた筆致で描いています。 タイトル・ロールのアリスと主人公のシュウ等、多くの主要人物がイカれていて話の進行を妨げる中、この巻では途中まで人望と政治力がある少年ケンジを中心に話が進みます。 話が廻り始めると思いきやアリスを連れてコロニーを逃げ出したシュウの目論見共々再び停滞が始まり、2,4巻に見られたな素晴らしいアクションによるカタルシスも今回は押さえ気味。 作者の虚実妄想が入り混じり、ポップながら一般青年誌ギリギリの異様な語り口に読み手は疲弊が増すばかりですが、この強烈な毒気、ヒリつく感覚にやられた読者は逃れる術が有りません。
なんとも生殺し感が強い5巻。 6巻が非常に気になります。
反乱軍側のEZOが優勢な辺境にて謎の存在「ツキコ」の捕獲・殺害を超コンピューター『預元者』より指令されたタキガワ中尉率いるハイエナ部隊。 目標「ツキコ」を捕獲する為の手掛かりがツキコ自身から来るメールしか無く、タキガワ達が駆るのが搭乗限界を過ぎれば『精神汚染』による発狂を伴う巨大な女子高生の姿をした兵器「女子攻兵」と言う悪夢の様な状況下、人知を越えた戦いが始まる…。
女子高生達を、理解不能の畏怖すべき存在として捉えたイメージを拡張変形したかの如きポップな書割の地獄絵図です。 出て来る「女子攻兵」は大抵・超ミニスカートで下着丸出し、中には全裸に目隠し、装備ベルトのみと言うキャラクターも居ますが、同じく異形の敵軍のデザインも含めて色気よりシュールな攻撃的イメージに満ちています。 この巻では全編戦闘とハイエナ部隊が友軍から精神汚染を疑われ虜囚となるシーンで為り、その奔放で過剰なイメージに感心しつつも読んで居て疲労困憊してしまう程です。 精神汚染が進んだ廃兵達が沈むのは血みどろのベッドでは無く、相手の存在しないメール・携帯によるとめどもない会話、と言う設定も悪意に満ちています。
比較的穏やかな誌面になってきた掲載誌「@バンチ」内では際立って異形の作品です。 本巻では、作者特有の醜悪なセックス・シーンも挿入され、正直読む者を選ぶ危険な領域に突入していますが、ツボにハマった方には堪らないギリギリの魅力が有る作品です。
前作「ZST」に続き、「ZST2」も、激しい、スピーディー、膠着なしで一本かKOの、ZSTワールドの魅力爆発! エースの小谷、急成長著しい所、 超破壊力の打撃でGP-2を制覇したレミギウス、 それぞれの魅力がぎっしり詰まったノンストップ総合格闘技の真髄です。 大袈裟ではなく、ZSTを見ずして総合格闘技は語れない。 おまけのZSTガール特集もいい感じです。
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