橋本紡原作・WOWOWノンスクランブルアニメーション『半分の月がのぼる空』の
オープニングとエンディングテーマを収録したマキシシングルCDです。
これから紡ぐ物語の始まりを予感させるオープニングに相応しい「青い幸福」。
軽快なリズムに乗せてnobukoの輪郭の整った伸びやかなボーカルが心地良く響きます。
未熟でまだこれからの道のりを知る由もない半分ずつの二人が進む姿を捉えた歌詞も秀抜です。
いつかは迎える旅立ちと別れへの心境をしっとり描いたエンディング「記憶のカケラ」
彼に対する素直な想いとささやかな彼女の覚悟が詰まった切ない歌詞が胸を打ちます。
バラードタッチの緩やかなピアノメロディに乗せて、
作品本編ではあまり感情を表に出さなかった彼女の真意が色濃く表現され、作品世界を一層彩ります。
アニメ本編は全6話で原作1〜5巻を早送りで紹介した実験的な作風でしたが、
この主題歌2曲は映像と合わせて、作品世界をわずかな時間で充分に表現した隠れた名曲と言えるでしょう。
また、余談ですが個人的にはCDの録音レベルが若干低く、音に張りがないのが残念でした。
深川栄洋監督は、まだ30代半ばなのに、職人のような映画作りをする。 デビュー作「狼少女」から昭和にこだわり、前作「60歳のラブレター」ではその昭和俳優たちを、見事な アンサンブルで魅せた手腕は確かだ。 今回も、何かノスタルジックだなあ、と思っていたら、ああ、そう来たか!という展開に唸らされた。
なぜ粗い画面が多いのかも、映画を観て行くうちに分かってくる。 伊勢でロケをしているのに、フィルムコミッション一押しの観光地なども登場しない。 それから、全編に漂う「昭和感」が半端じゃない。なぜ携帯電話とか出てこないのだろうか。 「狼少女」の頃から比べても、このあたりの演出は格段に上手くなってるよなあ・・・。 でも、それらは何故なのか?詳細はとにかく観て!としか言いようがない。
怱那汐里は本編初主演だが、難しい役を見事にこなしたし、哀愁漂う池松壮亮の存在感もいい感じだ。 それから、医師役の大泉洋。今回はひとつも笑いを取ることなく、本作のキーパーソンとして重要な位置を占めたが、 本来はこういう芝居も出来る俳優だ、というのが良く分かる。
「セカチュー」などの感涙もの、と考えている人は、騙されたと思ってぜひ観て欲しい。 人間は遅かれ早かれ、天国に行く運命にある。それをストレートに描くと、涙・涙の難病ものになるが、深川監督は あえてそれをしなかった。 観終わった後の「喪失感」から、それでも前に進まなければならない「決意」を観客自身にも感じさせるのが凄いのだ。 どうしてそうなったのか、何回も観たくなる作品だと思う。
特典映像もHD収録で、メイキングと舞台挨拶集&ロケ地MAPが収録されている。 ここでの大泉洋は、いつもの暴走も入って安心させてくれる(笑)。 まあ、深川監督は40代、50代と大監督になるかもしれないね。そんな予感を感じさせる作品である。 星は4つです。
壮大な冒険ドラマでも、不思議な日常の話でも、なんでもない。 虚勢を張って、迷いを隠しつつも純粋さが残る・・・よくいる17歳・現代っ子の主人公、祐一。 重い持病から人生のほとんどを病院の中で過ごしてきた美少女の里香。 これまたよくある病弱ヒロインで(性格は・・・激しいけど(^^;) そんな二人が病院で出会って、言い合って、迷って、時には大変な思いもして・・・気が付くとお互い近づいていた・・そんなお話。 舞台が病院なだけに生と死の間に垣間見える「闇」も多少含んでいるものの、里香のワガママに振り回され、病院を抜け出しては看護婦さんに追い回され・・なんだか苦笑いをしてしまう。軽い気持ちでスラスラ読める。柔らかい感じのイラストのせいもあるのかもしれない。 祐一の生涯の壁であり、敵であった亡き父。飲んだくれでどうしようもない父親。でもそんな彼の唯一の教え。 「好きな子ができたら、その子を大事にしろ」 父を嫌う気持ちは変わらない祐一がその言葉だけは胸にとどめている。 もちろんそんなことは口に出せない。ただ里香のそばにいて、ため息をつきつつも彼女を支えてやっている。私的にそんな祐一に好感を持った。女の子としては、やっぱりこういう男の子に出会えた里香は幸運だろうなーと思った。(^^) 同じ高校生の世代の者には、祐一のぼんやりした迷いや葛藤、でも決して人には垣間見せない、見せる必要もない・・・そんな気持ちが共感できるかもしれない。少年にも少女にも。
前5つのドラマCDに収録されたBGM集です。 過去に、ドラマCD一巻〜三巻の帯を集めて応募してもらえるサウンドトラックCDより曲数は増えています。
私は半月の原作、アニメ、ドラマCD全てに熱中して、何度も何度も読み返し、見、聞き返しましたので、このサントラを聞くだけで場面を思い浮かべ、そのシーンの気持ちが蘇り、泣けるシーンでは泣いてしまいます。 もし感動に浸りたいと思うのであれば、過去の作品をすべて聞かない限り無理ですが、その過程を通して聞けば最高に感動することは間違いありません。 ラノベ作品には違いありませんが、青春ものを読んで感動したいという人にはお勧めの一作です。
前回のドラマCDでは夏目吾郎の越えてきた道でした(いや、まだ越えてないのかもしれません)。裕一がこれからいつか向かえることになる道です。 今回はそんな話の序章です、裕一と里香が出会う話、裕一が大切なモノを見つける話。 一巻のスタッフのコメントの中にこんな事が書いてありました
「事実は小説より奇なり」という言葉があります、ならば「小説は事実より真なり」という逆説も成るのではないか と、あぁその通りだなと思いました。 この物語は「奇」ではありません、宇宙人も出てこないし裕一が凄い力を持っている訳でもないし里香の病気が完全に治ったりしません。 「真」です、バカな高校生が葛藤し、時に逃げ出し、迷い大人になっていくそんな話です。 原作がライトノベルという少しオタク的な媒体でなければもっと評価されていたのかもしれないと思います。 (これもドラマCDというあまり馴染みのない媒体ですし) ですがこのドラマCDは原作をほぼ忠実に再現されていて尚かつBGMも話に合った曲でとても完成度が高いです。 是非聞いてもらいたいですね。
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