Amazon Vine 先取りプログラム メンバーによるカスタマーレビュー (詳しくはこちら)
<東京モン>の若くも無い世代にとっては、吉本が
東京に進出を企図したが最初は全く相手にされなか
った事を鮮明に記憶している。例えばボンチおさむ
が
新宿コマ劇場の前で客寄せの呼び込みに立っても
OLらを含めて皆冷淡に通り過ぎるだけだった取材
報道のシーンがはっきりと目に思い浮かぶ。
子供の頃は関西芸人と言えば、買い物ゲーム番組の
いとしこいし、それと夫婦で遣るド突き漫才、後は
かしまし娘と大村昆ぐらいしか東の人間は知らなか
ったし、関心も無かったのだ。いやこちらの人間に
は関西弁自体に強いアレルギーもあった様に思う。
それが1973年頃になるとパンチDEデートなどの
番組が東京でも放映されるに至り、夜は夜で11P
Mの藤本義一の軽妙な司会なども通じて、関西文化
の存在がぐっと身近に成ってきた様にも思う。
大学に入り、全国からの学生が集まる中で、
大阪出
身の奴とも親しくなったのだが、言葉は違うこそす
れ、相手の立場に対する細やかな配慮なども含め、
庶民感覚的なところが東京の下町の人間と寸分変わ
るところがなく、数百年商都として栄え、都市を形
成して来ただけの事はあるなぁと大げさかも知れな
いが一種の感動さえ覚えたのである。勿論幾らかの
方向性の違いは当然存在するが、長い歴史の中で洗
練を受けているのは間違いが無い。
この様なことを考えながら、全てのディスクを試聴
した。
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1998〜1999年にVisualbum シリーズ名で作
成されたコントの集成+おまけディスクである。
おまけのメーキングシーンを見ると、撮影場にスタ
ッフの人数もぎっしりで、こりゃ人件費(弁当代?)
だけでも相当費やしているなと吃驚するぐらいだっ
た。細かな台本も準備せずにその場その場でアドリ
ブで自らを流すことを半ば意図的に行っている様で
もある。
コントに関してだが、瞬間瞬間のやり取りの流れの
中に、面白み+哀しみ、このストーリーはこの先ど
うなるのかとのハラハラ感も加わり、一種奇妙な精
神状態にぶら下げられる。それを出演者の達者な芸
に感心しながら見続けざるを得ない状況に置かれて
しまうのだ。或る意味、前衛的であり、確固たるプ
ロ芸人の修練の上に立った実験的作品群だろう。
1つ気になったことがある。吉本と言う枠の内では
最高レベルのアメーバの偽足運動なのかも知れない
が、それを打ち破って更に別の次元か高いレベルの
<おかしみ>の世界に到達できるかである。現在松
本人志は映画監督として頑張っている様だが、それ
の突き詰めを図っているのかも知れない。
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Vine プログラムとしての試聴盤を見た限りだが、ブ
ルーレイディスクに作品が収められてはいるが、残念
ながらコント部分の画質が悪い。
VHS の収録ものをアナログキャプチャーしてDVD した
様で、画質の悪いものを輪郭強調とかノイズ軽減操作
を行って720X480 のDVD 画面に拡大する訳だが、シー
ンに拠ってはだいぶ低画質のままである。
同時に撮影されたメイキングシーンの方が画質が良いが、
これは業務用の当時のビデオ画質で取られたものをその
ままDVD化しているので、並のDVD の画質が維持されて
いる様だ。それならば、元の業務用ビデオを用いて、コ
ント部分もDVD 用に新たに作り直す手もあった筈である。
実際はその方法も採用しているのかも知れないが、だと
すればDVD化する際のオーサリング時に画質がぐっと低
下を来したのだろうか?
試聴盤として受け取ったものはブルーレイディスクであ
るが、ハイビジョン画質の出だし部分、メイキングのDVD
画質部分、コントのVHS 部分の3つに明確に画質が分か
れている。と言う次第で、画質面からはブルーレイデス
ク化したメリットは全く無く、平均およそ38Mbps の高
ビットレートで全編が再生されてはいるが、それの意味
が無い。DVD で入手すればそれで足りるのである。
高画質化されておらず、過去のものを只光ディスクに載
せたも同然であるから、ブルーレイディスク盤にしても
5枚完全セットで5000円を切る価格程度が妥当では
ないだろうか?画質並びに価格設定がちょっと残念なと
ころではある。10月2日発売予定とディスクに手書き
で書かれていたのだが、もはや今更画質の改善も難しい
だろう。
以上から、コントの内容4.5,画質3の評価とし、平
均3.75を四捨五入?して4点としたい。
何回も半笑いで見てしまう。
これは凄く面白い。だが、大笑いできるかというと、そうでもなかったりする。
苛立ちだったり、恐怖だったり、もの悲しさだったりといった感情と、それらプラス『笑い』みたいな感じ。
松本さんの奥の深さっていうのは、それで作品を成立させる変なセンスだと思う。
ふと唐突に、「もういっぺん見よ」と思ってしまう、変な魅力が滲みまくってます。