高校時代この演奏をLPで初めて聴きました、そのときの印象はフルトヴェグラーのベードウェン第9交響曲(バイロイト版)に匹敵するものでした。現在改めてこのCDで聴くと天界の調べに満ちあふれているといった感じです。3楽章は評価によってはテンポが遅すぎもたれ気味とも言われているが、自分が生まれる前世の霊界の雲の中に漂っているような感じになります。4楽章の音の彩の美しさはちょっと言葉では表現できません。この演奏は録音されたものとしては5指に数えられる最高の演奏だと思います。この録音の少し前の同曲のライブが状態のよい録音で残っていればよいのですが・・・・・
カラヤンは繊細且つダイナミックのイメージがありますけれど、このブルックナーは美しすぎるほど美しい。エソテリックのリマスターリングは聴く度に感動しますが、このsacdは特に素晴しい。売り切れる前に是非購入して多くの人に聴いて頂きたいと思います。
低予算ホラー映画の重要な役割に若手映画作家たちの登竜門としての側面があります。 本作はこのジャンルで切磋琢磨する若手映像作家たちによる短編のコンピレーション作品。 監督として8名、脚本は10名がクレジットされております。 製作にはアメリカの人気ホラー系WebサイトBloody Disgustingが当たっており、レビューする側とクリエイター陣とのコラボと言う意味でも興味深い。 大きく5本のエピソードとそれらをまとめる部分を含めて6つのストーリーラインで構成されております。 その特徴は全てPOV形式であるという事。
家庭用のビデオカメラでも簡単に高画質映像が取れてしまう時代。 しかもYoutubeを例に出すまでもなく個人が世界に向けてその映像作品を発信する事すら、もはや当たり前。 そんな現状を逆手に取って”リアルなホラー”をお題に一本作ってみよう、と言うのが狙いでしょうか。 となると何となく実験的な匂いもしますが、あくまでエンタティメント指向で観客を置き去りにするような作品にはなっておりません。 ホラー映画とPOV形式というのは相性が良い組合せですが既に類似作品があふれる現状にあっては逆に足枷ともなりかねません。 それを回避し、どの様に楽しめるモノにするのか、そこが腕の見せ所。
集められたエピソードに出来の善し悪しがある事は否めません。 それでも、どの作品にもアイデアを盛り込み、観客を怖がらせてやろうというホラーらしい下世話なやる気(笑)は感じられるモノになっており、悪くないと思いました。 それとCG技術の利用にも積極的で(えっ、POVでもそこまでやるんだ…)と感心させられる点も(第一話のラストとか)。 出来で言えば何本も長編をモノにしているタイ・ウェスト氏による「2度目の新婚旅行」がミステリとして収束させており意外性もあって感心しました。
ただし、POV形式でホラー、しかもB級でインディーズ系の作品という事ですからお世辞にも見映えが良い作品ではありません。 流血だけでなくグロイ描写も多いので端から客を選ぶ作品であるのも事実。 まぁ最初からその手のファンに向けて作っているのですから潔いと言えばその通りですよね。
因みに本作、既に第2弾が完成済。 フォーマットは同様ですが、GO−PRO式の一人称視点(カメラ視点ではなく)の作品が増えております。 内容的にもこの第一作よりバラエティに富んだ印象で娯楽度も高くなっております。 このままシリーズ化されるんでしょうかね。
クラッシク音楽(オペラを含め)の生の音楽を聴いた機会は何千回もあるが、 生涯の中で最高のものは何かと尋ねられれば、それはマタチッチがN響を最後に指揮したブルックナー第8番だと答えたい(1984年3月定期公演、NHK ホール)。
ブルックナーは大器晩成型のオーストリア人で、当初教師職にあり、プロの音楽家としてのデビューは31歳でリンツの教会オルガニストに任命された時、自作交響曲の初演(第1番)は44歳の時とされる。また47歳(1871年)パリとロンドンにおけるオルガン即興演奏では、満堂の聴衆(サンサーンスらを含め)を感動させた記録が残されており、当時世界最高のオルガニストだったといえるのではなかろうか。 ブラームスとほぼ同時代に活躍したが、和声法と対位法の信奉者で生涯独身だったが、酒と美食と美女に心ときめかした(10回ちかくも求婚したとの逸話がある)巨匠といわれている。
ブルックナーの交響曲を聴いて感激する時の様子は、主要動機の繰り返しと、フルオーケストラによる全力演奏ダイナミズムの高揚のうちに、感動の渦が身体中に溢れ出てくる(ひたってしまう)とでも言えようか。弦楽器のうねりを超して金管群が鳴り響き、身体全体が音の中に吸い込まれるかのようだ。
筆者が聴いた演奏会については、当日演奏した徳永兼一郎(チェロ)が「ダフ屋まで出て、すごい演奏会になり、聴衆の反応も未だかってない程燃え上がり、N響メンバーも一人一人が今終わったばかりの奇跡の感激を味わった。」記している。2009年2月池辺晋一郎がN響50年の歴史「思い出の名演奏」特番でも、わざわざ当日の演奏をビデオ放映していたのが記憶に新しい。
他にも、安永徹がコンサートマスターとして参加した1984年ベルリン・フィルのブルックナー第8番の演奏(指揮者ジュリーニ)で、「弾きながら自ら感激してしまうと、余分な動きがなくなり、腕や指に全感覚が集中し、演奏の仕方について知らぬ間に啓示を受ける。」と弾きながら自ら感激したことを告白している。
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