叔父のインチキ結婚相談所に就職した主人公活人(かつと)。連日やってくるバカな客に嫌気がさしていた。
そんなある日、叔父がトラブルに巻き込まれるが、それが活人を未踏の世界へ引き込むことになる。
前半の結婚相談所のくだりは、電車内では笑いこらえられないので読むのは危険です。笑いの連続です。
戸梶ぶりが炸裂します。ポスト3.11で原発を痛烈に皮肉っています。
後半はアクション色の強い作風になってきます。本作は3部作の様なので、導入編という感じですが、ファンには十分楽しめる
と思います。中巻に期待しています。
オークラ出版が新規に立ち上げたライトノベル専門レーベル「NMG文庫」清水文化さんなんかも起用しておられるので 間違いなく「ラノベ」を出版しようとしたのでしょう。…しかし幾らBL本を出してきたオークラ出版でもまともなラノベを 出せるのかと不安を抱いたまま手に取った一冊がこれでした(ちなみに帯には確かにラノベと書いてありました)
ギターを抱えた半裸のジジイが表紙という時点で尋常ではない。普通ラノベの表紙といったら太ももとか肌を大胆に晒した アニメ顔のお姉ちゃんの絵ではないかと。まあ、内容はもっと尋常では無かった訳ですが
語り手が専門学校卒の二十歳過ぎたプーだという時点でラノベの基本を思い切り踏み外しているのですが、物語の舞台がまた凄い 西東京市に存在する白光団地という公団なのですが、六十年代に建てられたと思しき老朽化してまともな住人がいなくなって 代わりに日本の最底辺層が巣食っている、いわば現代日本の魔窟です。住人の大半がまともな職業に就いておらず、暴力沙汰と 窃盗が日常茶飯事で警察も人死にが出ないと来てくれないという人外魔境に父親のやらかし(某SNSで炎上を起こし実名・勤務先が バレるという最低な顛末)のお陰で祖父を頼って主人公・直人がやってきた所から物語は始まります
さて、件の表紙のジジイにして主人公の祖父・巌が当然普通じゃない。息を吸うように暴力を振るうマリファナと抗鬱剤の常用者 そこそこ頼りにはなるが、いざという時に鬱で完落ちして役に立たなかったりする極めつけの変人ギター職人。第一話でぶちのめした相手を 「人間ギター」に改造するシーンはFate/Zeroの「人間ピアノ」が餓鬼のままごとに見えました
構成的にはこの最低な公団を舞台に暴力ジジイの破天荒な行動に直人が振り回される騒動が三話収録されています
まあ、およそ美少年・美少女が汚れも臭気も無いデオドラント空間でラブコメったり厨二バトルするという一般的なラノベ読者が 想像する内容では無いのは確かです。出てくる公団の住人は全員クリーチャー同然で、そいつらが暴力を振るったり死体になったり 死体になった後もカラスに目玉をほじくられたりします。第一話で出てくる25歳のエジプト人ダンス講師(バツイチ・子持ち)が 女神様に見えるぐらい「どうしようもない最底辺」が描かれ続けます
けど、これが型破りに面白かった。今やラノベは新人募集でも「カテゴリーエラー」と称して決まった枠の中に収まらない作品を 自動的に弾き出すシステムになっているそうですが、そんなケツの穴の小さい了見でどうやってラノベというジャンルを開拓できましょうか? 本作品のあとがきで作者が言っている様にいつまでも甘酸っぱい二次元の未成年時代に生きていたい中年童貞・中年処女を生み出し続ける だけで衰退するばかりだろうと言いたい。ラノベを作る側も読む側もたまにはこういう破壊的なブツを自分の頭に叩きつけて 凝り固まった「ライトノベル」という概念をぶっ壊すべきではないでしょうか?
今財政を圧迫してる生保、こんな風に簡単に打ち切れたら面白いですね。でも切実に困窮してる人には・・・
これは他の方も書かれているようにB級作品です。しかーし、堤監督ファンにとっては絶対外せない作品です。ここまで馬鹿げたギャグを満載して作っているなんて、ある意味TRICK以上でしょう。それに野波真帆さんの演技の幅の広さ、今話題の宮藤官九郎が出演しているところなど、見逃すわけにはいきません。まだご覧になっていない方は、直ぐに入手して堤ワールドにはまりましょう!
堤幸彦監督氏の作品は氏の作品を一度みたことがある人なら期待通りです。それ以外だとつまらないという人が多いかもしれません。キャスティングも(イザム氏以外)よいし、ストーリーも適当な感じです。大きな期待してみる映画ではありません。原作のアレンジが絶妙な点、カメラの撮り方がまた面白いのが好印象でした。
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