「解けた」「解けない」の謎々はフェルマーの定理を始めとして多くの人間をギャンブルのような世界に引きずり込んできた。誰かが解けばみんな「ああ、やっと解放される」とほっとするが、そもそも解けない問題を「解けるかもしれない」と思って生涯かけて取り組むほど不毛なことはない。そしてさればこそそういう問題をわざと作りだして行方をくらます人間が出てきてもおかしくはない。ギャンブルにかけた人間の悲喜劇を描き出した異色本。
古代ギリシャでこれどの思考や技術が発達していたことと、併せて日本でこのよう科学的な思考が出てこなかったのか考えさせられる本でした。
約100年前、ギリシアで海綿獲りによって発見された沈没船から発見された謎の発見品。これををめぐる知的ドラマ。 文字盤の解読、二度にわたる世界大戦、科学技術の進歩による解明、多く分野にわたる学者たちの格闘・・・そこからはわれわれの常識を超越した、古代のハイテク機器であったことが示される。 訳もおみごとで、ハラハラドキドキ、時を忘れてページをくってしまう。 この本は多くのことを教えてくれる。単に歴史というのは一直線に進化するのではないということ。また、失われた過去のことであっても、探究心や好奇心にもとづき、汗を流して格闘すれば少なくとも相当程度までは明らかにできるこということ。もちろん、まだわからないことも多いが、テクノロジーやアラビア語文献の研究の進歩次第ではまだ発見があるかもしれないという。本当に楽しみである。
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