エッセイ、ショートストーリーを交互に交えながら、「旅」そのものというより、「日常」と「旅」の間にある、「記憶」や「感情」や「叙情」といった要素を辿り、女性的な「旅」への憧れを描いている。
単なる紀行文ではなく、「日常」と「旅」の「合間」を描いている点がユニークで、そこから「友人」や「恋人」など、日常に接する人や物事との微妙な「合間」も描かれていて、静かに共感出来る。
読み終わると「旅」に出たくなると同時に、「日常」も愛おしく感じる。そんな本だった。
アニャンさんのカバーイラストと沢山の挿し絵も抒情的で素敵。
60年安保当時東大教養学部自治会委員長だった西部による、当時のブントの活動家たちの評伝。いわゆる「ブント」が書きそうな革命家列伝じゃないのが、本書のいいところだ。右翼田中清玄による全学連への資金供与事件などは、青木昌彦が典型のようにブントの中では「なかったこと」になっている。本書の中で西部はそれが事実であること、また東大の自治会選挙でも自分が不正を行なっていたことを正直に語りながら、しかも皮相的にではなく、唐牛、長崎、森田実といった当時の活動家たちの群像を描いていく。西部、というのはエエカゲンナヤツだと思っていたが、少なくともこの本では、とても誠実だと思う。ブントの活動家のその後の人生によりそいつつ、高度成長という「明るい時代」のなかでブントの経験を行き直そう(引きずろう)とする真面目な元活動家の肖像を描き出しているのだ。革命か、挫折か、といった、短絡的な人間観はここにはない。60年ブントを語る上でかかせない一書といえるだろう。
あの天下の奇書『トリストラム・シャンディ』の著者が書いたのだから、こんな題名でも、おとなしやかな紀行文であるはずがない。フランス国内、行く先々で、下女やら人妻やらにちょっかいを出して行く滑稽猥褻譚の趣がある。『風流チョイ悪親爺紀行』とでも訳したらいいのではなかろうか。
ま、自分は出演声優さんが好きなのが買った理由の大半を占めていたのですが、センチメンタルグラフティの続編ということで…。せつなさ度というのが売りとか何とか書いてあった気がするが、とあるとこまでゲームの意味すらさっぱり不明だったのでしばらくほったらかしてありました。最後のほうは確かにせつなさを感じることは出来ましたが、のっけの部分がどうも好きになれないですね。修学旅行先がすべてセンチメンタルグラフティのヒロインのいる場所なのはインターチャネルだからこそでしょう。いろんな意味でツッコミいれながらまあまあ数ターンはやろうという気にはなれました。
ある日届いた一通の手紙から、北は北海道から南は長崎まで、全国に散らばる12人の幼なじみのもとを訪ねて思い出を新しい恋へと変えていく主人公……ツッコミ不許可、一世を風靡した伝説の(笑)ゲームのヒロイン達を主人公にしたOVAですね。 他のこの種のゲームのOVAは、主人公とメインヒロインを中心に、他のヒロイン達を脇役に落とすという設定が多い中、各話交代で全ヒロインをそれぞれ主人公にしたエピソードを用意する、という構成が光ります。 個人的には広島・七瀬優のエピソードが良い感じですが、各ヒロインの特徴を掴んだ脚本と、サンライズの高品位の作画により、全体的に水準の高いシリーズとなっています。 ゲーム本編の出来は何でしたが、本作自体は一見の価値のある作品となってます。
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