煌やかな音で飾り立てられた、五月蝿い音楽が多く聴こえるこの時代。 太い音、重い響きが心地よい。 そして何より。 籠められた殺気が、強く迫る。 腰の位置に刃物を構えて、重心を落とし、手先を使うんじゃなく身体ごと相手にぶつかって行く。 一殺必中の、そんな姿勢から畳み込まれてくるロックンロール。 ここのとこ繰り広げられてるツアーで、ますますそれがはっきり判る。 殺気は、だけど、殺意ではないんだ。 それは、生きてゆくという意志。 生命力を漲らせた、生き続ける決意を歌うロック。 時代に、裁判官に、洗脳しようとする誰かに、殺されないように。 死ぬ気で生きる。 死んだら殺されちまうもん。 残された時間がどのくらいか、誰にもわからない。 だから、日没までは光り続けてやる。 明日がなくても。 頭脳警察がそう決意してくれたんだから、俺も。
技術的に驚異的な進歩を遂げた映画界だが、古い作品でも、いい映画は何度見ても良い。 心に残る。
車内の運転シーンの背景や、銃声、銃から飛び散る火花等々。。 今の映画技術からすると、考えられないほどチープに映るけど(当時は最先端技術だろうけど)、それでもいいのだ。 なんてたって「映画」なのだから。 娯楽の世界であり、空想の世界であり、現実離れした世界にぐいぐいと引き込んでくれるのは、リアリティを求めた技術的な面でなく、作品の持つ力だ。
物語の終盤、やっと男女の関係になれたボニーとクライド。 もし、明日になって今までの事が全部リセットできたら、どうしたい? ボニーと問いかけに、クライドは 行ったことのない州へ行って、2人で暮らしながらも、「仕事(銀行強盗)」は、別の州でするよ。 ボニーは別の言葉を期待していたのだろう。。
切なくて、なんとも言えない感情。 この時、自分にとってこの映画はバイオレンスではなく、愛の映画だったと気付かされた。 (C.W.モスのタトゥも「LOVE」だったけど)
最後に。 「俺たちに明日はない」よりも原題「BONNIE&CLYDE」の方が直感的でクールなのに。。。 邦題を付ける人たちは、一体どういう意図でそんなタイトルを付けるんだろうか?
性の悩みを描いた短編集ですが一風変わった設定が特徴です。 ・中性子爆弾で恋人ではない二人だけが生き残った物語 ・潔癖症なのに相手のエロ妄想が嫌でも読めてしまう女教師 ・女性よりも女性らしいリアルなダッチワイフに恋した男 などなど 変わった作品ですが、青春時期の性の悩むをドロドロせずに爽やかに描いた良作です
最後の夜、男は明日に小さな幸せを大きくする事を誓い、女は小さな幸せを守る事を願った。そして、それらが交わる事が無いことにお互いが気づきながら、同じ明日を迎える。ここに全ての男女の行き違いの原点があり、その葛藤の結果が示されている(それは決して悲しい結果とは限らない)。また、全ての出演者の全ての行動が人間の全てを示しているように思えてならない。何一つ余計なものは無く、何一つ足りていないものも無い。解決しない事、それが人生なのではないかと考えさせられた映画である。 映画としても、淡々としたテンポが臨場感を産み、感情移入を容易にすることによってハラハラさせられる超一級品である。
「ボニー&クライド」は「ブッチ・キャシディ&サンダンス・キッド」と同じくらいペットに使いたい名前。 ウォーレン・ベイティも良かったが、フェイ・ダナウェイの演技も凄かった。 脚本の段階ではボニー役をナタリー・ウッドがやる予定だったが、あまりにもキャラが違うということでフェイ・ダナウェイになったらしい。 後に大いなる後悔をしたというのは当然。 最後に87発撃たれるシーンでは、撃たれる寸前にお互いの目と目が合い、少し微笑むところが何とも言えない。悟ったというか無限の愛を契ったというか。
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