手話動画H24-3 夜、よく眠れていますか？生活不活発病

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「動かない」と人は病む　生活不活発病とは何か (講談社現代新書)

　本書は「『動かない』と人は病む」とのタイトルどおりの本です。主として、高齢者が動かないでいると、どんどん体力気力が落ちて本当に動けないようになってしまうことが、さまざまなケースを紹介しながら記述されています。サブ・タイトルである「生活不活発病」の用語も、本書を読むと「なるほど」と合点がいきます。

　「生活不活発病」になってしまうケースとしては、(a) 定年になってすることがなくなった、(b) 子ども夫婦と同居するようになったら、お嫁さんに遠慮して家事を行わなくなった、(c) 病気の後に「安静にしなければ」と考えて運動量が落ちた、(d) 夏や冬の気候の厳しいときに外出を控えたら体力が落ちた、(e) 他人が高齢者を気遣って上げ膳据え膳しているうちに高齢者の生活能力が落ちた、などなどの事例が紹介されています。
　「ほんとうに気を付けなければ、『生活不活発病』で動けなくなってしまう」ということが実感をもって感じられます。

　また、「生活不活発病」の研究の歴史や、「生活不活発病」と「普通の病気」の違い等についても記述されており、多面的に理解ができます。
　たとえば、「生活不活発病で筋力・体力が低下した場合でも、『筋力トレーニングをして体を治そう』というアプローチは正しくない。むしろ、その人の社会生活をみつめ、『社会生活の中でやりたいことを行う中で治していく』という方法が大事」ということが書かれており、「なるほど」とうなづかせられます。

　この本は、びっくりするような事柄が書かれているわけではなく、むしろ常識に即した内容が書かれています。
　しかし、本書に書かれていることは本当に重要なことであり、多くの人に読まれるべき本と思います。また、きちんと整理されてわかりやすく書かれている本でもあります。
　一読の価値がある良書と思います。

「動かない」と人は病む――生活不活発病とは何か (講談社現代新書)

人間の体は、使わないでいると衰える。高齢であるほど、そうなりやすい。この一種の病気については以前からいろいろな呼び名があったが、今は「生活不活病」という名前が広がりつつあるという。

入院や安静や避難状態が続くことが原因で、体や頭の機能が低下する。身体の複数の機能が同時に低下する。しかし、これは正しい知識があれば防いだり対処可能な病気でもある。筋トレのようなことをする必要は無く、さまざまな形で1日の活動量を増やすことを心がければいい。また、起立性低血圧を発症した場合は、すぐ横になって足を上げるとよい。

大きくは、次のような生活機能の3つのレベルを意識する。社会参加の制約が、生活動作の低下をおこし、心身機能の低下をもたらす。だから、社会参加を活発にすることで、生活動作を多く行い、心身機能を使う機会が増える、という流れになるようにすることが理想的だという。

・社会参加（社会レベル）
　　　↓
・生活動作（個人レベル）
　　　↓
・心身機能（生物レベル）

調査によると、震災の直後の避難生活ではそのような現象が顕著にあらわれている。支援活動を行う人達は、被災者のひとのためを思って何でもやってあげようとするのではなく、支援を受ける人の側のやりがいや充実感を尊重して、あえて人に役立つ経験を通して生きがいを持ってもらうように配慮することで生活不活病を防ぐようにできる。何でもやってあげようとするよりは、一緒にやるという姿勢の方が良い。

米国の研究調査結果が紹介されている部分もある。この病気の予防法の本質は、どう生きるかということと結びついているという、著者の指摘が印象に残った。