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だれかが書かなきゃいけなかった本。読んで強くそう思いました。
設定は少し現実離れしているし、語り口もとても平易なので、「深みが無い」と揶揄される危険もあるかもしれませんが、そこに書かれている事がらは僕たちが正面から受け止めることを避けてきていた(それは無意識のうちに、かもしれません)テーマがちりばめられています。
震災の当事者以外(僕もそうです)の意識、ボランティアと偽善、生きていく意味、死ぬことの意味、死者と残された人のつながり・・・。どれもが重たく、口を開こうものなら「炎上」必至のこうしたテーマに、平易な文章による小説というかたちをとって、真正面からぶつかっています。
ひとつひとつの考え方や切り口に、賛同できる・できない、といったことはさして重要ではないと思います。言いたかったけれどいえなかったことや、潜在的には思っていたけれど認識するには至っていなかったことなど、たくさんの「気付き」を与えてくれたことで、この作品の役割は、十二分に発揮されたと言ってよいと思います。
こんなに重たいテーマをさらっと軽快に扱うことができるとは、驚きです。
そして、こうした一見軽快な(実はずっしりと重たいのですが)小説が
芥川賞候補になることもまた、驚きです。取れるかな?
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これは戦前の世界第恐慌のころのアメリカのお話らしいが、なぜか現代日本に生きる自分には他人事に思えない。
ちょっと批判言うと反体制者とレッテル貼り、リンチとか。雇用関係を利用して無理難題を押し付け賃下げ、逃げられない店子に高い自社売店の品を売りつけるとか。いやなら辞めろとか。食い詰めた田舎者を差別するとか。人間はあまり進歩しないね。