原作を読んで20年経って映画を見た。
原作への思い入れもあるせいか、本作は原作とはまた別物であると理解するしかなかった。但しそれはこの映画を貶めるということでもない。本作はある意味では非常に真面目な作品であり、監督の原作「ノルウェイの森」への思い入れも十分伝わってくる。監督の「思い入れ」と僕の「思い入れ」が違うということはしょうがないし、そこに優劣も上下も無い。
ただし本作を観たことで非常に原作への勉強になったことも確かだ。原作の主人公は当然「ワタナベ君」であるわけだが、本作では直子が主人公になっていると強く感じた。 結局 直子という主人公とどのように関わっていくのかということがテーマだと思う。「ワタナベ君」の主体性のなさ、自殺してしまうキズキ、直子の自殺を契機して療養所を出るレイコさん等を見ていると中心に直子がいることがわかる。だからこそ、原作では強い存在感を発揮していた小林緑が本作では薄い存在になっているのだと思う。それは小林緑の直子との接点が「ワタナベ君」経由だけだったという「関係の薄さ」から来ている。僕はそう考えた。
美しい映画だ。描かれる日本の風景は、しかし、どこか日本離れしている。それが外国人が本作を監督したからなのだろうか。
トラン・アン・ユン監督による村上春樹原作の映画化作品のサントラ。レディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドが担当した室内楽風の穏やかなナンバーや、優美なオーケストラ・サウンドなどのほか、挿入歌に使用されているCANの楽曲も収録されている。
原作を読んで20年経って映画を見た。
原作への思い入れもあるせいか、本作は原作とはまた別物であると理解するしかなかった。但しそれはこの映画を貶めるということでもない。本作はある意味では非常に真面目な作品であり、監督の原作「ノルウェイの森」への思い入れも十分伝わってくる。監督の「思い入れ」と僕の「思い入れ」が違うということはしょうがないし、そこに優劣も上下も無い。
ただし本作を観たことで非常に原作への勉強になったことも確かだ。原作の主人公は当然「ワタナベ君」であるわけだが、本作では直子が主人公になっていると強く感じた。 結局 直子という主人公とどのように関わっていくのかということがテーマだと思う。「ワタナベ君」の主体性のなさ、自殺してしまうキズキ、直子の自殺を契機して療養所を出るレイコさん等を見ていると中心に直子がいることがわかる。だからこそ、原作では強い存在感を発揮していた小林緑が本作では薄い存在になっているのだと思う。それは小林緑の直子との接点が「ワタナベ君」経由だけだったという「関係の薄さ」から来ている。僕はそう考えた。
美しい映画だ。描かれる日本の風景は、しかし、どこか日本離れしている。それが外国人が本作を監督したからなのだろうか。
(1)チャイルドフッド・ドリーム (2)スリーピン・フラワーズ (3)ノルウェイの森 (4)フォトグラフ (5)エグベルト (6)バンブー・リバー (7)アップル&ムーン (8)スイム (9)グリーン・エアー (10)ドーン (11)アフターイメージ
文学とは言えないという否定的な意見もたくさんあるようですが、青春時代を生きる感傷的な登場人物が描かれているこの作品は、年を重ねるにつれて失われていってしまう繊細さのようなものを思い起こさせ、その時代の漠然とした不安や葛藤・その人の原点のようなものに立ち返ることを許してくれるようで、私は好きです。 意味づけのされていない登場人物のさらっとしたたくさんの行動や自殺が、この作品の構成が不十分だと言われる理由の一つだと思いますが、それらはまるで不可解な事件が次々と軽々しさを以って起こる、現代の社会を反映しているように感じ、20年前というよりむしろ、現代にかかれた作品のような印象を受けました。
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