イタリアらしいコミカルでユーモラスな演出のなかで、ごくごく人間らしいハートウォーミングな内面をうまく描写しています。 ただ、おもしろおかしく滑稽に笑えるようなコンテンツではありません。 プレッシャーというものは誰にでもあるものです。 それを打破するか、プレッシャーに押しつぶされるかは、そのひとのキャラクターに依存すると思います。 この映画は、敢えて”ローマ法王”というポジション下において、くじけそうなこころの葛藤を描いていますが、大胆であるとも、畏れおおくあるともいえます。 結末はなんだか期待を裏切られたような感じはしますが、それもただ事ではないことをエスカレーションさせているのだと思います。 それと、ひとに与えられる真の価値とは何かを問うたものと見受けられます。
一時間番組では限界なのでしょうが、 掘り下げが足りないように思います。 教皇としての精力的な行動がメインですが 晩年にももっと注目すべき事柄はあったと思います。
公務員でなくてもやる気が出る本です。何事にももう一歩踏み込んで検討したのかを自問自答させる本です。
まずはパレストリーナ。 オーケストラ指揮者のイメージが強いヤンソンスがアカペラのコーラスを指揮しています。 タクトを使わず、豊かに溢れるハーモニーを時にすくいあげ、時に流すようなアクション。 音の厚みがとても心地よく感じられる演奏でした。
第九については、そんなに色々第九を聞き比べたことがないのですが…… どちらかというとゆっくりめ? その割になぜかティンパニの音がやや甲高く聞こえるのはなぜなんでしょう。 ホールのせいなのかオケの音のまとまりがやや粗いように感じました。 ただ教皇猊下の御前演奏ということもあるのか、力みとは違う気合いがオケからひしひしと伝わってきます。 第4楽章は合唱が秀逸。個々の歌が溶け合い、深く輝かしい1つの声のようです。 先のパレストリーナとあわせて合唱団の格というものを思い知らされます。
また、おまけ?のドキュメンタリーが面白かった。 コンサートを用意するバイエルンの放送局、バチカン在住あるいは本国のバイエルンの人々がコンサートにでかけてくる様子。 演奏だけでなくイベントとしての盛り上がりがわかります。
マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送響による2007年10月27日のライヴ録音です。 ただし、ローマ教皇ベネディクト14世の御前演奏(ライヴ)という特別な演奏会の 記録であり、SACDです。 丁寧に音楽に向かい合ったという感じの演奏です。ローマ教皇という超VIPの御前 演奏ということもあり、演奏者が強度の緊張を感じて演奏を開始したのでしょう。 第1楽章は「超安全運転」で始動した感じを受けます。ただ、そこは世界第一級の オーケストラと合唱団。だんだんといつもの弦の輝きと重心の低い太い音色が 表れてきます。第2楽章もキチッとした演奏。アンサンブルも完璧。第3楽章は 最も丁寧で繊細な演奏。ただ、やはりオーケストレーションが薄い分、奏者たち にはプレッシャーになったのか線が細い。第4楽章は全員による演奏になるので 再度力強さと輝きが増してきます。とにかく合唱団が上手い。上から下までが 美しさと輝きに満ちています。これがライヴなのかと疑うくらいです。ただし、 最後まで力強さと良い意味での勢いが出てこないのは、やはり特別な場であると いう気負いなのでしょうか?。ヤンソンスの指揮は最初から最後まですっきりと しつつも安定しています。間違いなく、今後20年はヤンソンスが世界の指揮者の 中心となっていくだろうということが感じられました。
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