棒を伸ばす時、手の部分が外れてしまい不便ですがかわいらしいので好きです。 肝心の掻いた時の感じですがまずまずです。
本書は、ソフトバンク創業者・孫正義氏の伝記である。生い立ちからボーダフォン買収までが描かれている。それ以降の活躍について知りたい方は、最近、話題になった『あんぽん』しかり後発の伝記があるので、そちらを読まれるといいだろう。
本書の特徴は、その文章のうまさにある。とにかく、読ませる。確かに、孫氏の人生そのものがドラマチックではあるが、「物語」として、とても面白く構成されている。たとえばp.220。孫氏は技術者である筒井多圭志氏に惚れ込んでいたが、同僚の技術者は彼の才能を理解できず、対立していた。そこで孫氏は言う。「わかった。そこまで意見が食いちがったのか。おまえら全員やめろ。おれは筒井ひとり取る、かまわん」。自分が筒井氏の立場であれば、これほど嬉しい言葉はないだろう。本書には感動的なエピソードが散りばめられている。
もっとも、本書は存命中の人物の伝記であり、過分に英雄視して描いている点については、差し引いて考えなければいけない。孫氏を信用できるかどうかは、自分自身と孫氏との交流の中で判断すべきことだ。本書によって予断を抱き損を被ったとしても、それは(厳しいが)その人が悪いということだ。本書はあくまで「物語」に過ぎない。そこに慎重になれるのなら、本書はとても面白い。
本書の記述には、その場にいなかった人には分かり得ないような描写も散見され、胡散臭さはある。だが、大枠ではよくまとまっている。孫氏は謎の多いイメージが長い間、先行していたが、彼を信用する人は日に日に増えてきている。それは、本書のような伝記が果たした部分も大きいだろう。存命中の人物であるだけに、慎重な態度も意識しておきたい。
まごの手はかさばるのですが、これは伸縮できるので便利です。 伸縮部分を伸ばしきっても十分な強度があります。 『手』の部分は人によってはすこし刺激を強く感じるかも 知れないですが、許容範囲ではないかと。
著者の作品を読み続けている評者にとって、この作品が、孫正義の「仕事ではなく人物像のみ」に焦点を当てたものとなっていることに驚きはない。その人物の人物像を浮かび上がらせるために、出生や生い立ちにまで遡り、そこにその人物のパーソナリティの原点をみつけるという手法も、著者がこれまで残してきた評伝と同じ手法だ。
そして、下世話であり、ある意味露悪的ともいえそうな佐野評伝の魅力をこの作品も持っている。おもしろかったし読み応えもあったが、佐野眞一が書いた評伝、と考えてみると物足りなさも残った。 読み終わった後疲労感を覚えるほどに圧倒されることはなかったからだ。
評者は過去に著者の評伝を読んで、何度もその感覚を味わってきた。 そして、本作の相手は孫正義。期待はかなりのものだった。そういう意味ではこの作品は期待はずれだったといえる。
物足りなさの理由は、作品にかける著者の「時間」と「汗」の差なのだろうと思う。
著者の作品は、作品から佐野眞一臭が漂ってくると思わせるほど体臭が濃い。クセが強い。 正力松太郎と彼にかかわった人物を描いた「巨怪伝」、ダイエーを率いた中内功を描いた「カリスマ」等は代表作に数えられる。これらの作品には膨大ともいえる取材時間、佐野眞一が流した汗が感じられ、かつ読み応えがあり圧倒的におもしろい。若い頃に残したルポ作品もそうだった。 だからなのだろう、佐野眞一は多作な作家ではなかった。
そんな著者もノンフィクション作家としての知名度が上がるにつれ、発表される作品もルポ・評伝を問わず多くなった。それにつれ作品を支えるスタッフの数も多くなったに違いない。 ここ数年の作品には、まずはスタッフ達にダンドリを整えてもらい、御大となった佐野眞一がおもむろに乗り込む、そんな感じがするものが多くなっているような気がしていた。
それでも、充分読み応えがあるのが著者の実力なのだが、ここ数年の発表された作品に読み終わってから疲労を覚えるほどの圧倒的なものはなかった。
たしかに、この作品はおもしろい。 しかし、この作品にはかつての著者作品から濃厚に漂っていた膨大な時間と汗を感じることはできず、圧倒されることはなかった。ただ、佐野眞一もすでに65歳。そんな彼にそれを求めることは読者の我儘なのかもしれないが・・・。
S・ジョブズとB・ゲイツは世界のコミュニケーションを変えた。 ここにM・ザッカーバーグやL・ペイジを加えてもいいかと思うが、 後者はあくまで「乗り物」が無ければ成しえないサービスであることを考えると、 やはりスティ−ブとビルは突出している。
本作は60分ほどのドキュメンタリーだが、スティーブとビルの「唯一の」TV対談 にもかなりの時間を割いており、アップルのみならずコミュニケーションとしてのPC の進化を取りあげている点が買える。
それにしても「マウス」を開発するのにウォルグリーンへ駆け込んで、制汗剤とバター箱を購入。 制汗剤の丸い部分をバター箱に組み込んで作った話などは抜群に面白かった。 アップル成功の影にウォルグリーンありとは(笑)・・・。 日本で言えばマツキヨとかサンドラとかHACに行って大発明したようなものだからね。
Macからi-Mac、i-podを経てi-phone、そしてi-padまでその進化と発想性には凄いものがあるし、 これはビル・ゲイツにも真似できない偉業だと思う。 おまけに本業のアップル立て直しのみならず、これまた大苦戦していたハリウッドメジャーの 雄・ディズニーまで元気にさせてしまったのは、もはや奇跡である。
本編でもエジソンとスティーブを比べたコメントがあるが、確かにふたりとも 電気・映画・音楽を「創造」して「中興」した点が共通している。 100年後には併記されているかも知れない。そのくらいの「革命」ではないか。
非常に駆け足だが、アップルの追放〜復帰なども押さえており、スティーブその人を知るには 良い作品だと思う。 孫正義氏も一瞬登場するが、軸はアメリカと中国であり、このあたりは時代の変わり目も 感じさせる。せっかくの「デジタルの神」についての作品なのだから、これはブルーレイで 発売して欲しかったところだ。 星は4つです。
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