一言でいえば、往年のスターだよな~という印象です。若いころの彼を知り、おもしろかったです。
リマスターされた映像も中々ですが、クライテリオンブルーレイの映像は飛び抜けています。 錠さんの顔の吹き出物まで鮮明に映っています。確かに真里アンヌさんも美しいんですが、小川万里子さんも素晴らしい。いわゆる、放送禁止用語もリマスター版と違い、ばんばんでてきます。当時はあまりにも前衛的すぎて不評だったらしいですが、今の時代逆に新鮮なのでしょう。当時の街、車、生活用品などがみれて面白い。錠さんも75.6歳になるのかな?まだ81歳の健さんも頑張っていますので、ここいらで、もうひと花さかせていただきたい、と願っております。
和風ノワールと書いたがそれに本家のフィルムノワールに負けず劣らずの出来。日本でもこういうフィルムが作られたということをもっと我々は知るべき。宍戸さんはエースのジョウで2番手のイメージも多いけどこういう渋いところをやらせるとピタリとはまる。いぶし銀という言葉がぴったりはまる1本。
宍戸錠(以下シシドと略します)さんの書いた小説という事になっていますが、実際はシシドの眼を通して見た戦後の日活の興亡、それを取り巻く、俳優、監督、スタッフたちを描いた限りなくノン・フィクションに近い作品だと思います。 日活は元々は日本活動写真株式会社をルーツとしますが、戦争中のゴタゴタを乗り越え、1945年大映の興行権を継承し、当初は洋画の配給をメインの業務としていました。そして、1955年に映画製作を再開しますが、5社協定のため、他社の俳優などがが使えず、やむを得ず、三国連太郎、月丘夢路、森繁久や、等の俳優、他社の監督、スタッフを引き抜き、新国劇の協力を得て、当初は、主に時代劇、文芸映画を製作します。しかし、自前の俳優が殆どいなく、そのためニューフェイスを登用を必要としていました。そして、その第1期のオーデションに合格し、入社したうちの1人がシンドだったわけです。日活が大きく飛躍したのは、1956年太陽族の石原裕次郎が入社し、デヴューし、次々と大ヒット作を連発してからでしょう。次々と人気俳優が育ち、石原、小林旭、赤木圭一郎、和田浩治 の4人でダイアモンド・ラインを形成しますが、和田浩治が若すぎて、集客力が落ちるので、和田とシシドをかえ、ニュー・ダイアモンド・ラインを形成します。 シシドは、上記のように第1期のニューフェイスとして、日活に入社しますが、大部屋で先輩、監督、スタッフにもまれながら、徐々にチャンスをつかみます。アフレコに遅れ、久松静児監督に干されたり、同期生の女優、アカシとの別れ、特徴を出すための豊頬手術、色々ありましたが、、赤木圭一郎との共演作、拳銃無頼帖・抜き打ちの竜 の演技で映画俳優としてやって行く自信を得ることが出来ます。また、森繁、裕次郎、小林旭、浅岡ルリ子、赤木圭一郎、などの俳優、監督、スタッフ等が見事に活写されています。そして、裕次郎がスキーで大怪我を起こした所でこの作品は終わっています。 シシドファンだけでなく、日活映画のファンの人には是非とも読んで欲しい本です!!
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