1970年代にソニーに残した音源からのベスト集、80年代以降メジャー・レーベルから距離を置いた活動を現在まで続けている、1960年代末の日本のフォーク・ソング界の立ち上げ時期から活動を続け発表した作品数も相当なものなのだが、70年代以降に活動を始めた後進たちのようには大ヒットに恵まれることはなかった、ボーカリスト兼アコースティック・ギタリストとしては国内最高の一人であろうことから、例えば日本版ボズ・スキャッグスのようなAOR的な売れ方の可能性もあったろうと考えるが残念ながらなにか志向が違っていたようでもある、本作のようにベスト盤として聞けばより分かりやすいがいわゆるフォーク歌手というよりも自作自演の「ボーカリスト」であり、徳永英明の同類と考えたほうがよいとおもう、
T1は石川セリがヒットさせた下田作品の最大のヒット作、T8もポップな作品でヒットしそうだったのだが歌詞の一部が問題視され放送禁止になったいわくつきの名曲(発表当時のラジオでは問題の歌詞が始まる前までがよく放送されたりした)、個人的にはT17をオープニング曲としたアルバム「ナイト・パートナー」こそこの時期までの下田逸郎最高作としてはやくCDで聞きたい、日本のボーカルAORアルバムの隠れた傑作と思います、
のちに発表される「モンスター」と同類の「月夜の砂漠」に顕著な不思議なメルヘンのようで実は残酷な所在無さのような疎外感や孤独感を感じさせる彼の歌を評者は心の底から愛しています、
なお、星五つは初CD化に敬意を表してです、
豊川海軍工廠の大爆撃が長崎と広島の原爆の間にあって意外とクローズアップされていないという事実は今回はじめて知りました。 その豊川が舞台です。そのため自治体などの協力体制もあり、爆撃や慰霊祭のシーンはかなり迫力があります。 また主役のふたり、秋吉久美子さんはこの映画が初主役で初ヌードらしい。下田さんは東京キッドブラザースの「黄金バット」などのミュージカルの音楽担当してましたね。この映画でも音楽担当です。 この上映まで長い期間かかったというのは映画をみればわかると思います。自治体の趣旨とちょっと違ったものになっていたのでしょう。しかし主人公の母が乗り移ってどうしても会いたい人に会う、という設定を「能」の形そのままに再現しました。最初と最後が対になっていると思います。魂はその人のことを思い出してくれる人がいるだけで永遠に不滅なんですね。素晴らしい。
下田逸郎さんという方、「夜霧よ今夜もありがとう」を創ったあの浜口庫之助さんのお弟子さんだったわけですから歌は当然うまいです。また、言葉をよく知っていますね。詩にも味わいがあります。語尾をきれいに歌う方です。わたしがはじめてこの方を知ったのは、「セクシー」をラジオで聞いたときです。当時、女性歌手がこの曲を歌っていたのですが、下田さんが歌うと違いますよね。鳥肌です。そんなもんじゃない」とか「さりげない夜」とか「40すぎて」とかいいですよ〜。このアルバム名曲ばかりです。
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