外的な要因によって運命が翻弄される、思い通りに行かない、というのではなく、むしろ自らの内面にある種子が皮膚を突き破り主人公を肥やしとして新たな生命を持ってしまうような、暗いそれでいて激しい行き方の一つのモデルが描かれています。繰り返される欺瞞のせりふや、駆け引きを愉しんで快活な人生を送ってきた美貌の主人公が最終的に内なる意識に蹂躙されるさまは読むものを恐怖させます。
高校生のころ部室に 「前途は遠い、そして暗い。しかしおそれてはならぬ、恐れぬものの前に道は開ける。行け、勇んで、小さきものよ」 と貼ってあったのが高校の頃すごく印象的でした。 幾度この言葉に勇気付けれらたことか、数えることは出来ません。 「小さき者」と自分を認識することで自分を過大に評価しすぎなかったことが出来ていると思います。 常にこの小説をバックの中にしまっています。 まだ十代だし、人生を語るには余りにも若輩ですけれども、 人生を生きる為の助言として頭の片隅にとどめておきながら生きています。
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