本編とバンデットQ、バロンがギリアムの「夢をテーマにした3部作」といわれている。バンデットQは少年の夢、バロンは老人の夢、本編は三部作二本目にあたる働き盛りの大人の夢になる。 3部作どれも素晴らしい。本編は他の二つに比べ暗く、メッセージ性が強いが、特に見ごたえがある。 今見ると豪華なキャストも完璧、作りこむので有名な美術も一見の価値あり。主題歌のブラジルの使い方もすばらしい。そして特筆すべきは風刺の利いた未来世界だろう。 約20年前のギリアムの未来像を今見返してみると、公開以来資本主義を追及してきた日本やアメリカの文化に少し重なって見えるところがある。 広がる貧富の差。中産階級のための高層団地。人々の環境破壊や産業廃棄物への無関心、技術開発のための開発が施された新製品や整形手術への執着。純愛などは過去の物、恋愛はほとんど「若さと美しさを買える特権階級が対象の商品」と化しているかのよう。 そして、それ自体がテロであるかのような暴力的なテロ対策… ギリアムの1985年の悪夢はひょっとしたら2004年の資本主義世界を少し誇張しただけのものに過ぎないのかもしれない。 10年程前学生時代に見た時に比べ、寒々とした社会で恋のために突っ走る主人公に、より感情移入し、切なくなってしまった。 アメリカ公開時当初はハッピーエンディングに変えられたらしい話題作。気軽に見れる作品ではないが、重要な一本。重い素材だが珠玉の作品に仕上あがっている。
#BGM的に聴くには収録時間が短いのでは?と思います。 サントラで聴くとその曲が使われていたシーンを強烈に思い出します。 音質はビデオよりいいと思いますので、お勧めのCDです。 #安いですし。 邦題の「未来世紀~」の未来世紀ってのはダサいと思ってるのは私だけでしょうか? ただの「ブラジル」の方がいろんな人に見てもらえるような気がします。 映画製作時の顛末記が出版されています。 #いろいろごたごたがあったんですね。 興味のある方はこちらも読んでみてください。 「バトル・オブ・ブラジル」(日本語版)です。 では、
通好みで癖のある監督(多分にアート系)から誰もが知ってる監督まで、色んな監督の実現しなかった映画について詳しく書かれている。そういった作品のシナリオや原案も抄録されていて、作り手のこだわりを強く感じる。 しかし、カラーページで珍しい写真を出来るだけ見せたかったからか、写真の上に細かい字が沢山書いてある。それが大変読みづらい。たとえビジュアル重視でも、もう少し読みやすいレイアウトに出来たと思うと、とても残念だ。
本編とバンデットQ、バロンがギリアムの「夢をテーマにした3部作」といわれている。バンデットQは少年の夢、バロンは老人の夢、本編は三部作二本目にあたる働き盛りの大人の夢になる。 3部作どれも素晴らしい。本編は他の二つに比べ暗く、メッセージ性が強いが、特に見ごたえがある。 今見ると豪華なキャストも完璧、作りこむので有名な美術も一見の価値あり。主題歌のブラジルの使い方もすばらしい。そして特筆すべきは風刺の利いた未来世界だろう。 約20年前のギリアムの未来像を今見返してみると、公開以来資本主義を追及してきた日本やアメリカの文化に少し重なって見えるところがある。 広がる貧富の差。中産階級のための高層団地。人々の環境破壊や産業廃棄物への無関心、技術開発のための開発が施された新製品や整形手術への執着。純愛などは過去の物、恋愛はほとんど「若さと美しさを買える特権階級が対象の商品」と化しているかのよう。 そして、それ自体がテロであるかのような暴力的なテロ対策… ギリアムの1985年の悪夢はひょっとしたら2004年の資本主義世界を少し誇張しただけのものに過ぎないのかもしれない。 10年程前学生時代に見た時に比べ、寒々とした社会で恋のために突っ走る主人公に、より感情移入し、切なくなってしまった。 アメリカ公開時当初はハッピーエンディングに変えられたらしい話題作。気軽に見れる作品ではないが、重要な一本。重い素材だが珠玉の作品に仕上あがっている。
ブレードランナーの冒頭で屋台のオヤジがハリソン・フォードに「二つで十分ですよ。わかってくださいよ」というときに、何が二つで十分なのか気になったまま時々「二つで十分ですよ」と口癖に約20年がすぎたわけだが、まさか、マサカ、その疑問に答える本が出てくるとは思わなかった。執筆者の町山 智浩が、映画秘宝の創刊者と知ってナットク。こういうことが気になる人と、気にならない人は、人生のどこで分岐するのだろうか。
といった感じで読み始めたのだが、さらに驚いたのが、この本は、単なる映画のトリビア本ではないということだ。この町山という人は、映画だけではなく、本当に現代アメリカ文化のことを理解していると思う。僕の知っているアメリカ人よりも下手したら理解しているのではないか、と思う。その上、この人は、実際に何人かの監督に直接インタビューしているのだ。デビッド・リンチのインタビューなどは、とんでもなく深い内容だ。ブレードランナーだけでなく、プラトーン、ロボコップ、グレムリン、ターミネイターに興奮した記憶のある30代40代は、絶対読まなければならない本である。
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