本格ミステリは全てすべからく犯人当てミステリではないが、逆は真なり――と、本格の中にはアリバイ崩しや倒叙ものもあるんだから当然でしょ、というなかれ、犯人当てというか「読者への挑戦」付きミステリにはその枠組みの中で洗練されたアノ手コノ手のワザがあり、何なら鮎川哲也の創元推理文庫から出ている短編集を読んでくださいませ、いやーホントにン十年も前にこんなことを考えたひとがいるなんて、ちょっとした感動を覚えますですよ。近年、この種の感動を覚えたのは愛川晶『カレーライスは知っていた』(光文社文庫)。文句ナシの怪作集。 さて本書はこれらとくらべると、まーずいぶんスマートな出来(笑)。解答を公募したのだから仕方ないといえばそうなんですが。でも「カレー――」も懸賞小説だったんだけれど(しかも賞品自腹)。スマートなまま綺麗に解答編を纏めた法月綸太郎のが私のベスト。この「ゼウスの息子たち」は正解率50%を狙った上で、物語を仕立てたと思う。
インクジェットプリンタ用よ銘打っているだけあってかなりきれいに仕上がります。にじみ等も無し。(キャノン製プリンタでは)ただ、見た目はかなり薄いので用途は限定されるかも知れません。何せ向こうが透けて見えますので。
お薦めです。確かにかなりバカバカしく,荒唐無稽で,色々無理があるかもしれませんが,それを考慮にいれてもこの本格魂,嬉しい限りです。複数の可能性を提示しつつそれを否定し,新たな謎解きを披露する。それを全ての話でやってのけ,さらに最近の短編集ではよく見かける手法ですが,最後にもう一度大掛かりな力技をやってのける。いろんな意味で喜ばせてくれる短編小説集です。ぜひ一度手にとって見てください。ほんとサービス精神にあふれています。
ふしのさん。
久しぶりの新作とはいえ、何故に今更これまでのダイジェスト的な部分が入っているのでしょうか?
河合師匠と天本&敏生の因縁なんて今更ページ割いてまで描かなくたって・・・出版社の指示ですか?それにしても蛇足です。その分お屋敷の因縁に回してほしかったな〜。
久しぶりに美代子が出てきたのは嬉しかったですが(笑)。
イラストのあかまさん。
天本も小一郎も龍村もこれまでと変わっていないのに、敏生だけ何故に極端なショタ化なんですか???
確かに年齢に見合わない幼さという設定ですが、これじゃあんまりです。
イラストだけなら☆2です。
1995年にカドカワノベルズとして出たものの文庫化。
「誘拐」をテーマとしたアンソロジーで、有栖川有栖「二十世紀的誘拐」、五十嵐均「セコい誘拐」、折原一「二重誘拐」、香納諒一「知らすべからず」、霞流一「スイカの脅迫状」、法月綸太郎「トランスミッション」、山口雅也「さらわれた幽霊」、吉村達也「誰の眉?」の8篇が収められている。
誘拐はまだまだ掘り下げがいのあるテーマと思う。密室トリックなんかにくらべると、まだまだネタが残っているだろう。本書でも、思いもよらないようなトリックが使われているものが多く、新鮮に感じた。
いや、どれもあっと驚くような趣向が凝らされている。
すぐれたアンソロジーだろう。
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