森毅先生によれば、代数系は位相および順序と並ぶ代表的な数学的構造です。
代数系論の起源は、方程式の解法の研究です。 たとえば方程式 3x + 6 = 0 は、両辺に1/3を掛けて x + 2 = 0 さらに-2を加えて x = -2 の手順で解くことができます。 このような式変形に必要な四則演算の性質を、実数から離れて集合論の基礎の上に定式化したものが代数系です。
線形代数や解析に比べ、それらの基礎理論でもある代数系論や位相論は、量子力学や暗号(未読)などを除いて、自然科学や工学での実用性には乏しいようです。 しかし、 ・ガウスが証明した、複素数を係数とする方程式は複素数の解を必ず持つという「代数学の基本定理」。 ・四則演算および累乗根をとる演算のみを用いた解の公式は五次以上の方程式に対して存在しないという定理に対するガロワによる証明。 といった天才たちの業績をたどり、数学の核に迫る興奮を味えるのは、応用的な技法習得に終始する感のある線形代数や解析にはない、代数系論の魅力だと思います。
予備知識は不要です。 集合論についても必要な内容は説明されています。 集合・位相入門と併せて読むことで、「現代数学を学ぶための基礎は一応できあがる」(はしがきより)そうです。 難易度は集合・位相入門より若干高めですが、高校生や文系出身者にも読める程度だと思います。
hp 12cのDNAを持つPlatinumですが、処理性能が格段に向上しているようです。 金色の味わい深いhp 12cですが、利率の演算、IRRの演算などにはちょっと時間がかかりました(それはそれで良い感じですが)。 このPlatinumでは演算で待つことはほとんどありません。 また、RPN入力モードは当然搭載しており、個別にALGモード(普通の電卓の入力方式、教科書的な入力モード)も準備されており、『( )』カッコで計算順序を変えたい時なども威力を発揮します(RPNモードでは不要なのでカッコは使えません)。 加えてundo機能も追加されたようです。 また、ケースカバーは従来の皮袋的なものからしっかりした箱型のレザーケースが付属します。 RPNモードで計算する場合はhpのホームページからhp 12c用のユーザズカイドがダウンロードできますが、ALGモードで計算するときのマニュアルはhp社には存在しないようですので、こちらに付属する専用のユーザーズガイドが必要かと思います。 多分この手のタイプの電卓が好きな方はALGモードは必要ないのでしょうけど、専用マニュアルでもあまりALGモードの部分は補足的にしか書かれていないようです。 この横型電卓は両手親指で入力するのがかっこ良しです。 『HP12cによる ときめきひらめき金融数学』の表紙を飾っているのもこの配色の電卓です。hp-17bii+と同様の洗練さ鋭さがありますね。ちなみにシルバーの部分はプラスチックではなく金属プレートです。 絶対にオススメします。
まず、この本は離散幾何の未解決問題のリストです。 離散幾何の知識は前提となっているので別の本で勉強する必要があります。 そして証明や定理の紹介は一切なく、研究動向だけが詳述されています。 離散幾何未解決問題のリストがほしい方、また論文を探している方向けです。
代数学の基本となる群・環・体に纏わる基本的なことはこの本で理解できると思う。数学に興味のある高校2年生くらいなら最後まで十分読了することも可能だろう。ただ、この本だけで、群・環の基礎知識をすべてまかなえるかというと難しく、もう少しアドバンストな本を1〜2冊読む必要があるだろう。章末問題には解答はないが、やや難しい問題には解答がネットで見つけられることも多い。
スキーム論に基づく、もっともスタンダードな教科書といえる と思います。
各章の内容を書くと 1章 座標をもちいた射影代数多様体の基本 2章 スキーム論入門 3章 層のコホモロジー 4章 代数曲線 5章 代数曲面 となっています。
1章は、2章以降の内容にイメージを与えるために書かれた 感じがあり、面白いところまでは書き切れていません。4,5 章は、代数曲線、曲面の基本的な性質を論じていて面白いと いえば面白いのですが、あまり深い内容には突っ込めていま せん。入門書として、あるいはページ数の制約上、限界は あります。
2章、3章はよく書けていると評価ははいいと思いますが。 今の若い数学者とかも結構な割合でこの本でスキームを勉強 したのではないでしょうか。
ただ、欠点としてはます、著者自身が認めているように、 必ずしも各定理をより一般的な条件下で証明することを 放棄しています。例えば、固有射で成り立つ定理を射影 射の時のみしめしたり(これは案外影響が大きい)、代数 多様体を、代数的閉体に限ったりと。複素代数幾何を専攻 する読者にとっては、大きな影響のない制限かも知れません が、数論的代数幾何を専攻とする読者には要らん制限では あります。
これがハーツホーン本の主たる批判の一つ。
もう一つは、本文で用いられる命題の結構な数を、練習問題 問題としてしまっていること。基本的で、基礎的な命題であれ ば自分で解け、というのも合理的ですが、Chowの補題のような 重要でかつ決して易しくない定理を練習問題にしたりと。 (ただ、後者に関しては、Chowsの補題は、固有射に関する 定理を射影射の場合に帰着さえるために用いることが多く、 固有射を放棄して、射影射での命題証明を基本スタンスとする この本の方針からして、必ずしも著者の怠慢ではないとは 思いますが。)
昨今、スキームによる代数幾何の教科書は和洋ともに充実 してきていますから、いろいろ探してみて自分の方針にあう 本を探されるのがいいかと。
スキームによる本として例示すると
EGA A.Grothendieck いわずと知れた原典 恐ろしく長い本なので、通読する ひまがあったら、その先の論文などを読んだ方がいい 例や、演習問題はまったくない。(というのも、この本 教科書ではない、あくまでも巨大な論文集なので)
Liu Algebraic geometry and arithmetic curves スキームの基礎から初めて、チェックコホモロジーに によるコホモロジーで、前半のスキームの基礎を展開。 後半は、デデキントスキーム上の相対次元1のスキーム (数論曲線)を扱い、代数体上の(普通の)曲線の リダクション理論を紹介しています。 本の構成がこなれていないのと、導来関手によるコホモロジ 理論の展開を放棄しているのが、残念。この本と、ハーツホーン の3章をくみあわせ勉強するのもいいかもしれない。 練習問題が多いのは◎
Gortz Wedhorn Algebraic geometry I,II巻が予告されてまだIしか出ていない。ハーツホーンの 二つの欠点を克服している。ただ、Iで600ページもあるの で、IIがでると恐ろしい分量になるような気がする。 演習問題もそこそこあり、○
和書だと 永田ほか 抽象代数幾何学 入門書として(前半は)読めなくもないが、後半は、スキームの 固有スキームへの埋め込み定理(永田の定理)や、ZMTの代数的 証明(グロタンのオリジナルはコホモロジーによる)など、かなり 新しいトピックを追加した、入門の一歩、二歩先をいくほん。 演習問題なぞない。コホモロジーも言及せず、純粋に”代数”幾何 の本。初学は消しててを出さないほうがいいかと。
飯高 茂 代数幾何学 あとがきにあるように、楽しく、次の展開が楽しみになるような 小説のような数学書を目指したらしい。なので、その分数学的 な厳密性に書けているきらいがある(間違っているというわけで はない)。高次元分類論の入門書としての価値はあるらしい。 GTMより英訳版があるが、各命題に証明をなるべくあたえ、数学書 としての体裁はよくなったが、面白さを犠牲にしてしまった、との 評価を聞く
上野 代数幾何 ハーツホーンに感じが近い本です。コホモロジーは導来関手はもちい ていない。代数曲面に関する記述がうすく、代数曲線についても、 リーマンーロッホ+αといった感じ。ただ、読みやすいです。
宮西 代数幾何学 割と薄い本なのですが、必要な可換代数の命題、コホモロジー+ スペクトル系列の解説から始まって、スキーム論の基礎理論を 述べた後、曲線論、曲面論をさらりと開設しています。 複素代数幾何を志すひとなら、あま分厚い本には手を出さずに、 この本で必要最小限の知識をえるのがいいかもしれません。
ほかにもいろいろ代数幾何の本はありますが、思いついた(私がかじった) 本をいくつか。
|