京都新聞社の創刊125周年を記念して出版された、桂離宮・修学院離宮を写真と文章で紹介した本です。 2つの離宮とも、京都ばかりでなく日本を代表する庭園といえますが、性格は異なります。桂離宮が、有名な書院を始めとする御殿はもとより、植物、石等々、庭園のすみずみまで細かな工夫をこらした人工美を極めたものであるのに対し、修学院離宮は、鞍馬や貴船といった周囲の山々の景観までをも取り入れ「借景庭園」とまでいわれる雄大な自然美を活かしたものになっています。 その対照的な2つの離宮内の名所の四季折々の姿が美しい写真で再現されており、見飽きない本になっています。価格はやや高いですが、日本を代表する対照的な2つの庭園を見ることが出来、価格に見合った満足感は充分得られる本です。
修学院離宮の拝許可が出て早々予習用に購入。印象はビデオもよいが直に観るのはさ更に良いことを申し述べておきます。 拝観後自宅でイメージの再生で鑑賞。記憶の再生に良いと思います。
庭園美に定評のある仙洞御所と修学院離宮の四季折々の姿をあますところなく網羅した写真集でしょう。
27歳で木村伊兵衛賞を取った実力のある三好和義さんがその感性と技術でもって美を追求したハンディなムックだと思います。オールカラーですし、一般参観者では見ることのできない内部からの景観を披露していますし、なにより三好さんの素晴らしい写真で紹介しているわけですから、その評価は高いものとなりました。
仙洞御所も修学院離宮も季節を変えて30年数年前から結構な回数を訪れていますが、その素晴らしさは京都の名園の中でも別格に挙げられるでしょう。
22ページの仙洞御所の紅葉山の散り紅葉の見開きの写真など、「まるで琳派の絵画を見るようだ」のコメント通りの景観です。北池の芝生と紅葉の対比もまた自然の美ですし、南池の八ツ橋の下がり藤も絵になります。書院からお庭を見ることなどまず不可能ですから、本書で十分に堪能させてもらいました。洲浜の桜の枝ぶりも美しいですね。
後半に収録してある修学院離宮はなんといっても紅葉の季節が抜群です。176ページの上御茶屋の夕陽に映える土橋と紅葉谷の見開きの写真はこの世のものとは思えない輝きに満ちています。三好さんの撮りおろしの写真ですが、こんな景観は見たことがありません。ベスト・シーズンの修学院離宮は実に美しいですね。日本の秋の美の代表のようです。
仙洞御所と修学院離宮のガイドブックという利用もあるのでしょうが、内部から見た景観など、実際に見ることは出来ませんので、かえって惜しい気持ちが募るでしょう。あくまで自宅で観賞用として眺めるのが一番精神衛生上良いでしょうね。
下御茶屋 、中御茶屋、客殿杉戸絵や内部の引き手、楽只軒の間、上御茶屋の隣雲亭から見る浴龍池や手前の大刈込など他にはない景観が広がっています。
なおいずれの写真にも解説が付きます。
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