過去、レコードLP盤による同名の作品集があり、時々針を置いてはその懐かしい音色を楽しんでいます。もう往年の名作音楽集は出ないのかと思っていた矢先、今回のCD盤はとても嬉しく知的興奮を覚えました。マニアはもちろん、映画音楽大好きな人は必聴と思います。
恋愛劇の定番「身分違いの恋」と
政治の内幕を笑い飛ばす精神が
見事に融合した作品であります。
「政治を笑うラブコメディ」という表現こそ
本作にふさわしいのではないでしょうか。
映画の「会議は踊る」を幼いころに観て以来、主題歌の「ただ一度」が本当に好きで、サントラ盤以外の音楽を探していました。収録曲がすべて明るく楽しいアレンジで、朝起きたとき、休みの日などに聴くと気分が明るくなります。軽やかなドイツ語も新鮮ですよ。
「会議は踊る。されど進まず」という言葉で知られるウィーン会議。
ナポレオン戦争後のヨーロッパ再編成について話し合われたこの会議では、ヨーロッパの覇者として存在感を示したいオーストリア、これを機会に発言権を強めたい新興国ロシア、プロイセン、生き残りをかけて必死に立ち回る小国、紛糾する各国の間を立ち回り、敗戦国としての立場を脱却したいフランスと、さまざまな思惑が展開し熾烈な駆け引きが展開された。
その一方で連日開かれる華やかな晩餐会に、ウィーンに集った王侯貴族に取り入ろうとする人々、会議の恩恵にあずかろうとする人々でウィーンはお祭り騒ぎとなった。
この本はそんなウィーン会議の狂騒振りをいきいきと描写し、華やかな外見とは裏腹に各国の背後に展開した権謀術数の数々も浮かび上がらせている。
紛糾し、誰もが終わりが見えなくなりつつあった会議を終結に導いたのが他ならぬナポレオンの再起であったというのはなんとも皮肉。
またオーストリア帝国に君臨した名門ハプスブルク家と帝都ウィーンの歴史にも触れられていて、この時斜陽に向かいつつあるハプスブルク家の命運に思いを馳せることもできる。
文章も軽快で時にユーモラス。読みやすい好著といえる。
「会議は踊る、されど進まず」と評された1814年のウィーン会議を舞台背景に、喜劇調かつ音楽をふんだんに取り入れたトーキー初期のオペレッタ映画。ミーハーな帽子屋の娘に扮したリリアン・ハーヴェイの少女マンガチックな身振り手振りいっぱいの演技がとてもチャーミングです。
また、劇中で唄われる「新しい酒の歌」「唯一度だけ」は最高に心地よく、ドイツ語でこんな楽しい雰囲気の曲は聞いたことがない!というくらいの名曲です。解説の淀川長治さんも「唯一度だけ」を口ずさんでました!
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