時代劇のパターンの全ては長谷川伸が書いてしまった。
だから、時代劇を書くものは皆一度長谷川伸に戻らねばならない。
そのもどるべきひとつが本書である。
長谷川伸(明治17年(1884年)3月15日 - 昭和38年(1963年)6月11日)
主な作品
『関の弥太っぺ 』1930
『鼠小僧唄祭 』 1933
『刺青判官 」 1933
『沓掛時次郎』1935
『瞼の母』 1936
『国定忠次 』1947
『切られ与三郎 』1948
『殴られた石松 』
『稲葉小僧』
『日本捕虜志 』
『まむしのお政』
『四条河原の荒木又右衛門 』
『一本刀土俵入り』
『日本敵討ち異相』
股旅映画の名作と誉れ高い一編です。しかしわたしは、
それほど好きにはなれませんでした。東映時代劇の終
焉時に製作されたためか、極端にデフォルメされたセット
や思い切って省略化された構成などで、時代劇のコクの
ようなものがあまり感じられなかったからです。何より、
全体が、張り詰め過ぎているように思いました。
反面、作中の音楽は今でも印象が鮮やかです。朝吉
(渥美清)が時次郎(中村錦之助)と絡みながら仁義を
切るオープニングに流れるタイトル曲の、軽快なリズム
には自由への憧れ、哀調のメロディーには挫折と孤独
の辛さとが込められているかのようでした。この曲は、後
に暗転する運命を知らぬまま、時次郎がおきぬ(池内淳
子) の子供を肩車して土手を歩く場面やラストでその子
供と共に淋しく立ち去っていくシーンにも使われていまし
た。監督自身も「斎藤一郎さんの音楽がいいでしょう。」
と言っていました。(『加藤泰研究』という雑誌だったかな
?)
作曲者の斎藤一郎は、成瀬巳喜男との名コンビぶりが
知られる他は、あまり情報がありません。そこで、経歴
を調べてみました。
[生] 千葉1909.8.23〜1979.11.16 国立音楽学校
の窪兼雅についてバイオリンを修めた後、松竹管弦楽団
でバイオリンを担当。池内友次郎、池譲に師事して作曲
を学び、新興キネマ音楽部に転じて映画音楽の道に入り、
のち大映に移る。昭和27年『おかあさん』『稲妻』で毎日
映画コンクール音楽賞、昭和29年『金色夜叉』で東南ア
ジア映画祭音楽賞を受賞している。(『日本の映画人』
2007に『現代人名情報辞典』1987の記述を加筆しまし
た。)
やはり、根っからの映画の人だったのですね。だから、
本作の作者の意図を理解し、それを音楽として表現し得
たのでしょう。熟達のプロの技に拍手!!
魚沼産コシヒカリの値段的にはお手頃な値段なんだと思います。 このコシヒカリに限らずある程度の値段を境に正直一般人には味の違いがいまいち 分からないと思いました。 色、ツヤはさすがだと思いましたし一口目の口に入れた瞬間のお米の甘みは魚沼産と言う ブランドに恥じない代物だと思いました。
何度も映画化及び舞台化されている、長谷川伸原作による股旅ものの名作で、本作は加藤泰監督と萬屋錦之介コンビによる、昭和37年の傑作。今はやくざに身を持ち崩している忠太郎だが、幼い時に別れたままで、まだ見ぬ母への思慕は誰よりも強い。そこで彼は江戸へ母を探しに行くことにする。そして苦難の末についに母と思しきひとに巡り合うのだが・・・・。
番場の忠太郎を演ずる錦之介さんが実によい。このときまだ30歳になるかならないかのはずだが、この堂々たる押し出しと切れ味はさすがです。松方弘樹さんなんかこの時点ではまだまだ足元にも及ばない。そして松方さんの母親を演ずる夏川静江、盲目の三味線弾きの浪花千栄子、夜鷹の沢村貞子、そしてついに巡り合う実の母の木暮実千代など、熟年女優達がみんな良い!
加藤泰のキャメラの長廻しを交えた粘り強い演出も特筆ものだ。とくに浪花と錦之介のシーンは5分半(!!)、沢村に居酒屋で酒を飲ませるシーンは3分半、そして最大の見せ場でもある、ラストの木暮を訪ねるシーンも最初から3分半、それぞれワンカットで撮っている。これらのワンカットのシーンはすべて見応え十分の名シーンである。木暮は最初は疑いつつも、会話を重ねるにつれて錦之介が実の息子と確信する。しかし婚礼を控えた娘の手前、悩みながらも錦之介を追い出す。そのあと娘に錦之介を連れ戻せと懇願されると、キャメラが木暮の周りをゆっくりと一周回って、心の揺れを表現するがこの演出もさりげなく凄い。恐るべし、加藤泰。原健策や山形勲も好演。つまりは加藤監督は役者さんに見せ場を作るのが、とっても上手いということですね。
いや、まさかこの時代劇がDVD化されるとは夢にも思いませんでした。何しろ雑多な出演陣のうえに、東映の他に三船プロといった製作会社が幾つか参加しているので発売するのに権利関係をクリア出来るのか若干不安でしたからね(時代劇チャンネルなどで再放送はされていましたが)。しかし内容のほうは文句なしで、出演者も鶴田浩二、菅原文太、勝新・若富兄弟、萬屋錦之介、美空ひばり、森進一、北島三郎、杉良太郎とバラエティに富んでいます。監督のほうもマキノ雅弘を筆頭に、三隅研次や山下耕作、戦前の巨匠の一人である稲垣浩(『瞼の母』を撮って股旅映画ブームを作った第一人者!)までもが参加しているので映画ファンや長谷川伸ファンは買って損はないと思いますよ。
|